ブサイクバカンス読書部

読んだ本の感想を書くブログです。

2018年をふりかえる

 さて、年末です。しかも本気の年末、年内の残り手淫可能回数が3回あるかないかというくらいのガチ年の瀬です。

 

というわけで、今年をバーっと振り返ってみようと思います。

開設して間もないものの、読書ブログらしく、読んだ本なんかを思い出しつつ(親の顔は思い出せないというのに……)。


恐怖が世界を覆う1月

今年の1月は、ぼくの読書生活に一大転機がおとずれました。

 

2001年ごろからメフィスト賞受賞作や、それ以前の新本格ミステリーを読み始めた僕。
基本的には殺人事件を扱ったものしか読んできませんでした。

 

しかし、年明け早々になにを思ったのか、米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』を手にとることに。

いわゆる「日常の謎」というやつです。

 

大学で推理小説研究会の読書会で若竹七海『ぼくのミステリな日常』が課題図書になったとき以来、14年ぶりくらいの「日常の謎」です。

 

で、まんまとこれにハマりまして。

『氷菓』から始まる古典部のシリーズにも手を出し、『ビブリア古書堂の事件手帖』なんかもようやく手にとりました。

 

インフォシークを使って「日常の謎」ものの有名作品やおすすめをネット検索したところ、「コージーミステリー」いうジャンル名にいきあたりました。

 

知らない言葉は確認せねばと思い、『川井チャンの「F単」フォースエディション F1中継によくでる用語』で調べたところ。
今田コージー、東野コージー、東本コージー(サッカー解説者)、とあわせて日本四大コージー、とされてるらしい、ということが分かりました。

 

ミステリーは一時期すごく好きだったのにもかかわらず、そんな基礎的な用語を今まで知らずにきたことに驚きました。
しかも「コージーミステリー専門レーベル」なんてものすらあるとか。

 

またこの月は小室哲哉氏の引退も発表されましたね。
高校生時代にはWindows98のシーケンスソフトとSC-88でTMネットワークのコピーをしたりなんかしちゃっていた身として、なつかしの小室曲を聞き返したりしました。

 

ビデオデッキが叛乱を起こす2月

アニメの『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』をいっき見。


「もしかして、「日常の謎」ってジャンルは「世界の美しさに気がつくジャンル」なんじゃないのか?」と思い、いっしょに収監されている相棒にたずねたところ、「そうだ」との返事をいただきました。

 

マクロスデルタの映画版『激情のワルキューレ』を何度も見に行く。
横浜アリーナでおこなわれた3rdライブはけっきょく現地のチケットが入手できず、ライブビューイング勢となりました。

 

また「今年発売になったゴムベラの中で一番いろんなものをこそぎ取ったゴムベラ」を決めるゴムベラ大賞が発表になりましたね。
ぼくが使っているゴムベラじゃなかったのが残念でした。あぁ、来年こそは、推しゴムベラを大賞にしてあげたい。

 

潤子が屁をこく3月

そのむかし、NHKでドラマ化した『六番目の小夜子』
ドラマは青春学園ホラーで、若き日の山田孝之なんかも出演していて、大好きでした。
「ミステリー風味の青春学園小説を読みたい」と思ったので、初めて原作を読んでみたのですが。
これ、中盤の演劇シーンの迫力、神じゃないですか! これがデビュー作だなんて。

 

『リズと青い鳥』公開にそなえて、『響け!ユーフォニアム』を見返し始める。

 

また、駅から我が家までの間にあるすべての建物の壁に「京アニ作品は全部見ろ、神より」って指示が書いてあることを発見。

自称神からの指示に従い、ユーフォのみならずアニメ版『氷菓』も見始める。

 

あとなぜか『宇宙のステルヴィア』をリアルタイム視聴以来ひさびさに全話見直すことに。
ステルヴィアのすっかり忘れていた要素として「ファウンデーションに学生を送り込む理由は、超新星爆発の衝撃の第二波に備える計画だけでなく、太陽系外への人類の進出のためだ」ってのがあって、これとOP曲の「夢を描くのは「人」に生まれたから」って歌詞が合いすぎて震えた。

 

1年ぶりに電気グルーヴのZeppライブ。
帰り道、すっかり酔った僕は大手町駅のたぬきの置物を碇シンジと混同し、渚カヲル口調で話しかけることに。

 

この月、他に読んだ本は、
ラノベ『魔王に世界の半分をもらったけど好きな子がアッチ側にいる件』
ドスケベ純文学『当意即妙のシックスナイン』

などなど。

 

俺の蒙古班がすっかり消えた4月

カテジナ・ツェフっていうチェコの女性SF作家が書いた、ヨーロッパの言語と神を遡行していく『黎明の虹』って作品。
それの古本を1万円でゲットする。

 

非殺人事件もののミステリーへの興味は継続しており、『スパイラル ~推理の絆~』を全巻再読。
実は最後のほうを読んだことがなかったので、結崎ひよのちゃんの正体を初めて知る。

 

この月はリュック・ベッソンの最高傑作だと思う『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』も見に行った。
できればふたたび映画館で見たい。しかし悲しいかな。ドリパスの再上映ランキングではかなり下のほうにある。

織田裕二主演『卒業旅行 ニホンから来ました』と同じくらい傑作だと思うのに……。

 

望月麻衣『わが家は祗園の拝み屋さん』というライトミステリーにも手を出す。
なるほど、こういうイケメンと古都モノが流行ってるのか……俺もこういうの書けば……女性読者にモテて……バレンタインデーに油揚げとかもらえるかもしれない……。

 

この月他に読んだ本。
ラノベ『書けないミステリーのあきらめ方』
異世界ファンタジーと同じくらい、ラノベ作家やイラストレーターや漫画家といったクリエイターものがあるけど、そのひとつのアプローチとして「ラノベ作家が複数登場し、そのうちの誰かが体験をもとにした小説を書いてるという設定だけど誰が書いているのかわからない」って内容の叙述トリックもの。

 

大量のブーメランを買い込んだ5月

あいかわらずワルキューレ推しの僕。
アニュータライブ2018「あにゅパ!!」への出演の報を聞きつけ、ライブ参戦。

読んだ本
ラノベ『リア充たちが生命体として次のステージに上がったので俺むしろ下がる』
ラノベ『陰茎をもいだら断面に謎の文字を発見して草不可避www』

あと、この月といえば、異星人と共同で惑星を調査するハードSF、デニス・デイビッドソン『氷の夢』はガチで理想のSFだった。

 

アナル毛を聖なる焔で浄化してやろうと思い立ち、縁日の射的で掻っ攫ったエロジッポを肛門に近付けた6月

「なんかミステリーそのものへの回帰がしたいなぁ」なんて考え、15年以上ぶりに綾辻行人『十角館の殺人』を再読。
再読する最中、『うみねこのなく頃に』のBGMを流していたら、これが合うこと合うこと。そのマッチングはおそらく必然。

 

調子に乗って法月綸太郎『誰彼』なんかも購入。

 

他には『SSR確定!』ってラノベを読んだ。

 

また、「SF小説について語れる風俗を開店したら儲かるかな?」なんて考えて事業計画を練ってみる。
そのためには社員教育として風俗嬢全員に1万冊のSF小説の読破を義務付ける必要があるだろう、と考えたものの、手元にSF小説が8千冊しかないという事実に気がつき「あ、こりゃダメだ」とあきらめる。

 

ハリルホジッチの解任により、いまひとつW杯に気合が入っていなかったものの、今大会ではNHKのアプリで「戦術カメラ」というのを選択すると天から見下ろしっぱなしにできることを知り、いっきにテンションがあがる。戦術の時代に対応してきたな、と。

 

庵野秀明の影響で『彼氏彼女の事情』のコミックスを買った7月

日本がベルギー代表にやぶれた朝。
ニコ生で日本代表の試合の解説を担当していた作家の中村慎太郎氏がツイートで著書の『サポーターをめぐる冒険』を宣伝していたので、そのままアマゾンでポチり、読む。
この本はほんとうに傑作。年が近くて同じ東京出身のぼくには他人事とは思えなかった。

 

W杯ではイングランド代表がついにPK戦を勝ち進むという歴史的勝利を記録。
しかし当然ながら優勝には至らず。

 

ベルギー戦の日本代表の戦いに感動した東浩紀さんが急遽ゲンロンカフェでサッカーイベントを開催。
東さんがサッカーに関心を示すなんてまさかの展開過ぎたので即チケット購入。

 

中村慎太郎さんへの興味と、もっとサッカーについて勉強したいなぁという思いから、「サッカー本専門読書ブログ」を立ち上げようかなぁなんて考えたものの、サッカーの本だけ読むのもキツいし、けっかとしてこの読書ブログの立ち上げに。

 

ブログの始め方について調べているうちに、古賀史健『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の名を見かける。


この本は星海社から出ているのだが、出版当事に批評家の村上裕一氏が褒めていたので、ゼロアカ世代の僕はこれも縁だと思い、読んでみた。


結論からいうと必読書。20歳を過ぎていても読んで損はないし、まだ10代でも読んでおくべきだ。たとえあなたが老衰死寸前であろうとも。もしくは、まだへその緒を切断する前、子宮在住だろうとも。

 

あいかわらずラノベも読んでいる。
『俺のラノベでおまえを殴る!!』という異能バトルものが面白かった。読み終わったあと、弟をラノベで殴ったら反撃された(なので今、右半身が複雑骨折している)。

 

2018年夏アニメでは『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のOPが気に入る。サビ頭で巨乳エルフのシェラのおっぱいがドアップで揺れる様に大変心奪われた。アニメ自体もおもしろかった。そしてエロかった。

 

ピンク色のキティちゃんのタオルハンカチ階段で落とした8月

角川文庫で復刊している、手塚治虫『火の鳥』を読み始める。

というのも、岡田斗司夫氏がニコ生で「シン・エヴァって、火の鳥未来編みたいなことやろうとしてるんじゃないの」って言ってたので。
そのとき紹介していたコマが、火の鳥の呪いで死ねない存在になった人が孤独を紛らわすために少女のアンドロイドを作っても作っても失敗して、綾波シリーズがごとく、大量の残骸が転がっている、というもの。

エヴァ世代の僕は直感的に「それだよ、オタキング! さすが庵野の結婚式に呼ばれなかっただけある!」と感心した。

 

『冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する』の1巻も発売。
斧名田マニマニさんの本はひととおり読んでるし、書籍化していない小説もWebで読んでいるが、もしかして一番良い作品になるかもしれないぞ、と思った。

 

ひさびさに西が丘サッカー場でサッカー観戦をする。
子供のころからサッカーをテレビで見続けているものの、生で見るのは小学生以来。
それにともなって観戦記をしるすためにnoteを始める。

note.mu

他にも90年代アニソンについて書いたり、過去の文章、未発表の文章なんかも載せた。

note.mu

 

note.mu


しかしいまやnoteは読む専に。

 

ほかには『あなたのキスはいつも苦い』が面白かった。
「苦い」理由を意外性のあるものに設定し、中盤の折り返し点においては素朴な意味で感情的な苦味のあるシーンを入れ「あ、タイトルの「苦い」ってこれか」とミスリード、という優れた構成。
そして「苦い」の真の意味がクライマックスからエピローグにかけてちゃんと理解できるから心置きなくハッピーエンド。
アラサーの恋愛模様が描かれるのも大変素晴らしい。


コンクリートに混ぜる水の量が規定よりも多い9月

「松井恵理子・松嵜麗の声優アニ雑団」が終了。
ふたりとも好きだったけど、とくに麗ちゃまは毎週「結婚して欲しいなぁ……」と思いながら見てた。
麗ちゃまはなんというか、口の横幅が好き。

 

三省堂書店にて『サムライブルーの勝利と敗北』の出版イベント。
著者の五百蔵容さんと、『フットボールネーション』の作者大武ユキさんとの対談。
イベント後のサイン会にて、みんなが五百蔵さんとサッカー話をするなか、なぜか『ダーティペア』の話題をふる僕。

 

豊洲Pitで行われたワルキューレの小規模な限定ライブ「扇情のワルキューレ」にも参加。
マクロスデルタの新作映画が発表され、生きる気力が湧く。

 

上田操さんの可愛さに気がついたのもこの頃。

 

烏龍茶風呂で乳首毛をお手入れしてもらうという極上プレイで睾丸が乾燥するほど射精し夢現のまま崖から落ちて死んだ10月

昔からのやる夫スレ作者仲間であり、ツイッターでは僕のクソリプを律儀に介護してくれていた富士伸太がデビュー。
タイトルは『身代わり令嬢と堅物男爵の剣舞曲~貴族令嬢、 婚約破棄して駆け落ちした姉の後始末に奔走する~』

彼の作品は、読んでいると「こいつモテてるな……? モテてるよな?」と感じることがあるのだが、今作もそう。

看守の目を盗んで脱獄用の穴を掘っていた相棒に向かって「ふれんださんこと富士伸太モテてるよな?」と聞いたところ「おまえも手伝え」とスプーンを投げつけられる。

 

南大沢で『花の詩女 ゴティックメード』を初鑑賞。
漫画のコマの擬音がすべて鳴っているかのような音響に感動。乙女パスタに感動なみに感動。

 

高島雄哉『ランドスケープと夏の定理』は、今年読んだSFではベストの作品。
瀬名秀明さんが帯に「日本SFの歴史を次の五十年に受け渡す傑作」と書いていて、それに惹かれて購入。大正解。
ハードSFなんだけど、作中一番の天才が主人公の姉で、姉好きにもおすすめ。というか、姉好きにおすすめ。


読み終えた後、姉モノ作家のレジェンド竹井10日先生が作った『秋桜の空に』というエロゲーのED曲を聴いた。
それくらい姉SF。

 

湯豆腐をつかったシガーボックスで世界一輪車大会の会場から追い出された11月

『蒼竜の側用人』の広告が都営地下鉄のドアに貼ってあったので見つめていたら、俺と広告の間にいたカップルに怪訝な顔される。前戯中だった可能性あり。
作品自体は気になったので後に購入した。

ゲンロンカフェにて、さやわか × 大井昌和「いまこそ語ろう、士郎正宗!──ニッポンのマンガ #2」というイベントが行われる。
蒙が啓かれたし、ただちにドミニオンを読んだりした。
今年のゲンロンカフェ屈指の神イベントだったので、再放送の際には視聴をおすすめする。


士郎正宗のインタビューが載っている大昔のスタジオボイスまでネットで調べて入手してしまった。

 

『森には森の風が吹く』で、ひさびさに森博嗣の文章に触れる。
森博嗣が好きである、ということの何度目かの再確認。もう何度再確認したことか。

 

古代火星文明時代の遺跡へたどりつけない12月

今期1番好きだった『SSSS.GRIDMAN』
トークショー付き振り返り上映を新宿バルト9で見る。
長年オタクをやってきたにもかかわらず、緑川光を初めて生で見た。

 

このブログ開設。
独自ドメインを取得したが、いまだにエラー続きで移行できていない。このまま移行できなかったらもしかしたらリストカットするかも……心の中で。

 

『花の詩女 ゴティックメード』をふたたび見る。

 

ついにユナイテッドからモウリーニョが去り、レジェンドであるスールシャールが暫定監督として就任。
すべてが良い方向に向かい始める。

 

そして、今日、12月31日。

 

その一瞬、
風が強く吹いたから、
香呂はその時眼を瞑ったのだろう。
桜の花びらは舞ったのだろう。
見下ろせる街。だけど見下ろさず。
甘辛いバイオリン、つつがないプサルテリウム、せちがらいシンセサイザ。
駅から溢れ出す、心と□□□。
キスをする仔猫、仔馬、鼓動。
エントロピィの増大しきった部屋の窓から、模型飛行機を飛ばす。
モータもない。ギアもない。翼は水晶。光は太陽。エスニックなカレー。
「惚れてる? そうでなくてもハートを舐めてくれる?」
指先にナイフで傷を付け、そこから中に入る。
体内を泳いで、心を目指す。
心は向日葵の形。向日葵は彼女の形。彼女は彼の彼女。――恋人。
聖蹟桜ヶ丘通りを、声優が歩く。
あーえーいーうーえーおーあーおー
かーけーきーくーけーこーかーこー
店先には外郎。裏口には西瓜。
あなたは誰?
足を引き摺りながら土手を歩く。
車椅子はエクスタシィ。

小春も夏樹も秋奈も冬子もゆっくりと性交をする。

光はなくても匂いはする。
聞こえなくても性器は濡れる。
遅刻をしても彼は微笑む。

ミステリィを読まなくても、明日があるかもしれな――