ブサイクバカンス読書部

読んだ本の感想を書くブログです。

【感想】富士伸太『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです1~2』

 

どもー! スパゲッティマニアのスパ後藤です!!

 

あっ、昼飯の冷やしたぬきうどんが届いちゃったから、ちょっと待ってて。

 

…………ふーッ、最近暖かくなってきたからなァ。

 

実は私、スパ後藤は童貞社という出版社を経営しているのですが、最近はイマヒトツ儲からないので、流行りの、ホラホラ、アレですよ。イット革命っていうの? 儲かるんでしょ? 聞いてますよ~。インターネットで宣伝すればすぐに売り上げが立って立って立ちまくっちゃうんでしょ?

 

というわけで、我が社の刊行する雑誌を紹介。

 

・『季刊 手淫デビュー春特別号』
これから手淫を始めようという方、新しい手淫スタイルに切り換えようという方全てに送る、手淫専門雑誌。
4月から新中学生へのグラビア、エロマンガ、エロ小説を一挙掲載。
特集『想い出初手淫』では、夜桜手淫や、高層ビル手淫、手打ち麺職人協力手淫など、想い出深い初手淫にする方法を多数紹介。
対談富野由悠季×ラッスンゴレライの人、ガッツ石松×明智光秀(イタコによる口寄せ)。
特別付録・外出手淫用ポケットティッシュ。

 

・『週刊 棒』
日本全国の棒マニア待望の棒専門誌が遂に登場!
物干し竿にするには短く、釣り竿にするには強度が足りず、仕方なしに肛門に挿入してみたら直腸が悲惨なことになる、いびつでささくれだった、全くニスを塗っていない、振る事くらいしか使い道のない棒2020年棒カタログ。
特集「全国の棒拾いスポット情報」、懺悔コーナー「棒で殴ったお婆さんの行方」。
強力連載陣! 岩崎ひろみ「棒とお散歩」、カールスモーキー石井「ポールメロディーズ」、藤崎竜「棒くんがゆく」。

※棒ドレスアップステッカーは5冊に1冊の割合でしか付いていません。

 

・『日刊 二次元ガール』
表紙の美少女の全データを掲載した新感覚美少女雑誌。
母親の股座から誕生した瞬間から、中学校入学、初体験、高校卒業、水商売、結婚、出産、子育て失敗、丑の刻参り、一家離散、土手の主、豚箱生活、死までを全て網羅。
イラスト、小説全800ページオールカラー!
応募者全員プレゼント! オリジナルスクール水着。

 

・『文芸蝉時雨 ~詩と文学~』
私のみが連載する文芸誌。純文学と詩を掲載する。以下は先月号に掲載した私自作の俳句とその解題である。

 

素振りして オヤジの頭骨が 陥没し
夕暮れの庭先ですね。
補欠野球部員が、夕陽を背に庭先で素振りをしているところへ、声をかけてやろうと不用意に近づいた父親の頭蓋骨にバットがめり込む。

 

毒蛾見て エロい気持ちに なるジジイ
毒蛾のもつ、囲気と、羽の模様ですね。
爺さんの股間を熱くするような、もう一度若き日の夜を思い出すような、妖しい雰囲気、燐粉と共に放つ蛾です。

 

ホントなら 手淫くらいは してたはず
クリスマスイヴに、急なバイトが入ってしまいましたね。
道路工事のバイトで、夜11時くらいに横をすり抜けていくカップルを見て、別に相手もいないし、童貞だけど、今頃暖かい部屋で手淫くらいしてたんじゃないかなぁ、と、ふと思う瞬間ですね。

 

チカン見て 御徒町から 徒歩10分
田端側から秋葉原に向かって京浜東北線に乗ると、鶯谷→上野→御徒町→秋葉原って順ですよね。
鶯谷と上野の間くらいで、見知らぬおっさんがチカン扱いされて、それを横目に自分のキモチ悪い容姿を客観的に考えた時、まだ、御徒町だけど、周りのことを考えて、10分くらい歩いて秋葉原に行こう、と。


作家随時募集中。今なら先着7名様までもれなくデビュー可。


・『隔年刊 堂本剛』
日本史上で最もギャグセンス溢れるスーパータレント堂本剛の素顔に2年に一度の割合で迫ろうと、その頃まで我が社が潰れていなかったら迫ろうという雑誌。
20Pに渡る特集記事『2大オモシロ徹底対決 堂本剛 VS 元グレート・チキンパワーズ』。
剛作曲講座「曲は天から降りてくる」、ドキュメント「ドラマ役作り密着2分」コラム「今しか出来ない恋」等、今号も堂本剛の魅力満載でお送りします。

※秋葉原での街頭インタビュー「貴方が思う剛の面白さ!」は、オタク達がお気に入りのエロゲーライターの面白いところを挙げたり、オタ女にイケメンユーチューバーの方が格好良くて面白いと反抗されたり、その女を殴って万世橋警察にお世話になったり等の事情から掲載を見送りましたのでご了承下さい。

 

・『ストランド・マガジン』
コマン・トイル氏の手によるシャーロック・ポームズ譚の掲載で知られる大衆誌。
以下はポームズ短編の試し読みである。

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「あ、あ、あ、おもしろ~い。おもしろ~い……」
ここはベーカー街にある下宿。
同居人のポームズは薄力粉を石鹸水でといた物を注射し、妙な世界へのトリップを楽しんでいた。
彼は不可解な難問を抱えていないと日常を持て余してしまうため、薬に頼った刺激に身を委ねるのだ。
「いい加減にそれをやめたらどうだい? ここのところ毎日じゃやないか」
「おもしろ~い。おもしろ~い……はっ、ワドスン君。君も僕の事はわかっているだろう。僕だってこんなものは使いたくないさ。でも楽しい仕事がないものでね」
ポームズは立ち上がり、窓に寄った。外を見下ろす。
「しかし、どうやら事件がまいこんでくるようだ。それもかなり変わった」
「依頼者かい?」
「そうさ。……中に入ったようだ。今に階段をのぼってくるよ。……そら、来た」
ドアを無礼に開け放ったのは40歳前後の頭の禿げた紳士だった。腹もでている。
「あ、あんたがポームズさんかい!?」
階段を駆け上がったのか、顔を真っ赤にして、振るえながらポームズを指差す。
「いかにも、私がポームズですよ。まぁ、とりあえずおかけになって。オナニーしたばかりの仮性包茎の皮でも戻したらどうです?」
ポームズの言葉に紳士は飛びあがって驚いた。
「いかにも私は仮性包茎だし、オナニーしたばかりだが……いったい何故そんなことがわかる!?」
「なぁに簡単なことですよ。下半身が裸なんで肉棒は丸見えだし、剥いた皮が中途半端に戻っている。亀頭が薄く光っているのはカウパー氏腺液が付着したものだ。あなたが手に持っているデレマスのエロ同人誌でクスリ漬けの夢見りあむがイクシーンに精液が思いっきりかかっているが、まだ匂いも新鮮だ。ついさっき抜いたとわかります。ついでに言いますと、本日2度目のオナニーだともね」
ポームズがさも当たり前のことだというふうに言った。
ポームズの明快な指摘に納得する紳士。
「なるほど言われてみると実に簡単なことですな」
私もポームズのやり口は何度もこの目にしてきたが、あいかわらず驚かされる。
紳士は椅子にどっかり腰をおろすと、亀頭を完全に包皮で被い、3回ほど愚息を撫でた後、あらためてポームズに視線を戻し、焦りながら話し始めた。
「じ、実はご相談したいことがあるのです。私はヌキ・オナーと申す者です。私の身の回りで実に困ったことが起き、なんとか原因を探っているのですが…私の力ではさっぱり、どう解決したらいいのかわからんのです!」
ポームズは両手の指を突き合わせながら先を促す。
「そ、それというのも私が経営するアニメ系イメクラなのです。何故かここ2、3週間の間に、風俗嬢がどんどんと辞めていくか、無断欠勤をするのです。おかげでウチは姫が一人もいなくなってしまいましてね。しかたなく私が『かぐや様は告らせたい』のコスでプレイルームに入るのですが、これも不評で。しかたなしに姫の部屋まで訪ねるのですが、茶髪のニーチャンにボコ殴りにされる始末でして……」
「なるほど。つまり風俗嬢が辞める原因を突き止めて、店に戻るよう説得すればいいわけですね」
「そ、そうなんです。ぜひお願いします。これは私の名刺です。店の概要もこれに」
見るとヌキ・オナー氏の連絡先と、秋葉原コスプレ学園・ロンドン校と店名が入っており、裏には店の簡単な地図と、電話番号、住所、営業時間が記してあった。
「風俗嬢の住所録の一覧などございますか?」
ポームズがたずねると、ヌキ・オナー氏は懐から一枚の紙を取り出した。
風俗嬢の源氏名と本名と現住所と電話番号、入店日が書いてある。
「では、これにそれぞれ辞めていった日付を書きこんでください。ペンはこれをどうぞ」
ペンを受け取ると急いで書きこんでいくヌキ・オナー氏。
ポームズは私に笑いかけながら言った。
「恋愛感情などは冷静な推理に全く不用とはいえ、童貞くらい喪失させてもらえそうだね」
「私は君のおかげで淫乱な妻をめとったばかりだよ。僕は妻のアナルで充分満足しているよ」
私はとある財宝に関する事件の際に今の妻と知り合った。見事これを解決したのはポームズである。
「か、書き終わりました」
ヌキ・オナー氏が顔をあげた。ポームズはそれを見ると満足げにうなずき、早くも推理にとりかかっている。
「で、ではよろしくお願いして。そろそろ店に戻ってよろしいでしょうか? 私を指名する客がいないとも限りませんし」
「構いませんよ。2、3日あれば結果を出せると思います」
ポームズは風俗嬢の一覧から顔も上げずに、答えた。
「で、では失礼します。ポームズ先生にはなにとぞ、よろしくでございます」
ヌキ・オナー氏は入ってきたときとはうって変わった丁寧さで退室した。


一覧の中で最初に辞めた者の一人、サセコ・ベンジョン嬢の家へ向かう2輪馬車の中でポームズが言った。
「この一覧を見ると、最初に辞めていった風俗嬢は近いところに住んでいる。次の集団も近いところに住む同士だ。その後はバラバラに加速的に辞めていっている」
「どういうことだい? まったくわからないな」
「きっと同一の人物が彼女達の自宅で何かしたんだろうね。そして、これだけ効率的にまわるなんて。見てごらん。パディントン駅を利用して出勤するだろう風俗嬢が一番多いが、これが最初に辞めていった。次に辞めた集団は二番目に多い集団だ。実に効率がいいね」
「つまりはどういうことがわかるんだい?」
「犯人はこの一覧と同じものを持っているのさ」
「ということはあの店長か、店員のどちらかかな」
「これを手に入れれば誰にでもできることさ。さぁ、着いたようだ」
御者に半ソブリンほど払い、馬車を降りた。アパートのベンジョン嬢の部屋の呼び鈴の紐を引く。
しばらくするとドアが開いた。
「遅くなってごめんなさい。最近用心しなきゃならないことがあるの。どなたかしら?」
顔を出したのは、14、5歳の美少女。まるで『ヤマノススメ』のここなちゃんのようだ。
見知らぬ男を2人も前にしたベンジョン嬢に、ポームズは突然妙なことを言い出した。
「もうもうもう。急にお店辞めちゃうんだから。ほら、サセコちゃんに10回も抜いてもらった明智小六郎よ。辞めたからには本番させてもらおうと思って来ちゃった~。そういうわけで、おじゃましま~す」
無理矢理部屋に入るポームズ。唖然とするベンジョン嬢と私。
「な、なにするんですか!? 勝手に入らないで!」
ポームズの袖口を引っ張ってなんとか外に追いやろうとするベンジョン嬢。
しかし少女の腕力ではポームズを外に追いやることも出来ない。
な、なんだか……私も……はぁ……はぁ……興奮してきてしまった。
私はドアを後ろ手に閉めて、まだポームズにひっついてる彼女の尻に頬ずりをした。
振り向いて青ざめるベンジョン嬢。ポームズが下半身を露わにした。
「ワドスン君、その娘とファックしたまえ。ぼくはそれを見て抜かせてもらうよ……はぁはぁ」
私はベンジョン嬢の白い清楚なワンピースを左右に引き裂いた。
目に涙をためたベンジョン嬢の下着を膝まで下ろし、私はアナルにいきなり指を入れた。
「いいよ、いいよ、ワドスン君。とってもいいよー!!」
叫びながら性器をシゴくポームズ。私は己の肉棒を握ると、サセコ嬢のアナルの入り口にあてがった。
そして……


「おもしろ~い。おもしろ~い。あ、あ、あ、きれ~い」
ここはベーカー街にある下宿。
ビロードばりの肱掛椅子によりかかり、妙な世界にトリップ中のポームズ。
その眩惑的な想像の世界で私が一人の少女を強姦しているなんて知る由もなかったが、なぜか私の股間は勃起していた。

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・『月刊 スパ後藤』
業界初! 編集長自らの雑誌を創刊!
2020年代最新の雑誌作りノウハウ満載の業界必読雑誌を目指します。
その他に私の家族紹介。妻との想い出写真集。世の中に言いたいこと。愛人候補の盗撮写真集。私のコダワリ(第1回は毎朝の食事について)。
50歳からオシャレファッションについて私が自らモデルとなって紹介するコーナーもあります。


全て定価5万円ですが、年間購読をお申し込み戴くと、一冊490円になるという斬新な価格破壊ぶりです。


お申し込みは、東京都北区と足立区の境目道路第5マンホール内 童貞社「雑誌購読係」まで。

 

とまぁ、我が社の雑誌の宣伝(架空)から入りました。どうもスパ後藤こと荒井祐太です。

 

ところでね、話題は変わりますが、みんなぎょう虫検査受けた方がいいですよ。
ホントね、女性は外陰部炎症や膣炎とかになってセックス出来なくなりますから。


今までに幼稚園や小学校の時にセロファンみたいな薄いテープを、アヌスにペタリとして、変にムズムズしていたアレを、ただのネタだと思うかもしれませんが、マジで受けた方が良いです。身の為です。いや、世界の為です。


尿とか唾液とか愛液には殺菌作用や浄化作用があるのに、ウンコってただの毒なんだよ、アレ。
だから、聖水プレイとか舐めまくったりとかは良いんですよ。なのにウンコは何一つ“癒し”の効果を持ってませんから。スカトロの人とかはさっさとぎょう虫検査をすべきですね。


きっと大人があまりぎょう虫検査を受けてないから、新種の虫とか発見されてないと思うんですよ。


新種の虫が恐ろしい力を持ったとんでもないヤツだったらどうするのですか。
ある日突然、オレンジ色のウンコとか出てきちゃって、病院に行ったら腸内に果樹園あって、ぎょう虫が蜜柑栽培してたらさ。
力んでないのにウンコが出てると思ったら、そのぎょう虫が勝手に放り出してた、とか。可能性はあるじゃん。


脳の中枢とかも上手く乗っ取られちゃって、それが安倍総理とかトランプとか里芋田中ムチン五郎もやられちゃってさ、「ぎょう虫帝国」とかを組織する可能性大ですよ。
それで攻めてくるわけですよ。まだぎょう虫にかかってない人々を。ぎょう虫帝国の送り出すぎょう虫人間が、街にぎょう虫ガスをまいたり、ぎょう虫紐で誰かを縛ったり、ぎょう虫カーを乗り回したりするわけですよ……地獄ですよ。


だから早いトコぎょう虫検査をして、ぎょう虫殺し薬を飲むなり肛門の肉を削ぐなりして下さい。「ご飯ですよ」をUSB接続する努力を7時間もしている暇があるならはやく検査を! 新たな性の目覚めもあるかもしれないし!


あ、風俗で「ぎょう虫検査プレイ」って作ったらどうですかね? 秋葉原コスプレ学園・ロンドン校で。
健康チェックも出来て、女の子がアヌスにテープを貼ってくれて恥ずかしいし気持ち良いし、いいこと尽くめ。
仮に地球がぎょう虫帝国に支配されても、キモイ連中だけは無事っていう、ね。

 

で、ギョウ虫検査の結果無事だった僕は、検査会場の病院建物がある神崎蘭子タンの子宮を飛び出した。そして昨晩暗殺用タバコから蒸留した濃厚なニコチンを飲み乾す。
ぷっはぁー、美味ぇー。

思わず我が男性器の縫い目もほつれるような豊かな味わい。これこそが漢の、自殺希望の漢の味だ。


やがて、呼吸が段々と苦しくなってくる。開放しっぱなしの肛門からは、“どじょっこ”だの“ふなっこ”だのがニュルピチャ出てくる。
そう、僕の胃液で消化しきれないギョウ虫を代わりに食べてもらうために、体内で泥鰌と鮒を飼っていたのだ。
連中はしばらくフローリングの上でヌルピチャやっていたが、急に窓を開けて入ってきたオッサン(ボサボサの髪とボロボロの服で、傘やらラジオを携帯している)が、残さずコンビニ袋に入れて持っていってしまった。


僕はまだ身体中が羊水塗れなので、産湯がわりに銭湯に行くことにした。
朝風呂ってヤツだ。こいつが大変気持ち良くて、湯に浸かりながらウォッカを胃に流し込むと世界を支配した気分になる。
しかし――そう、ボクの所持金はゼロ円。湯銭がないではないか!


というわけで、彼の地・秋葉原まで、遥々オタクスリ(狩りは怖いので)をしにいくことに決めた。
では、先ずは交通費が必要だ。僕はバンドリのコラボギターを古道具屋へ160円で売りつけ、上野まで京浜を飛ばすと(心の中でのみ時速400キロ)残り二駅分を歩いた。

 

秋葉原に到着。
いたいた。仮性包茎共め! 僕が身銭を根こそぎ掠め取ってやんゼ。
僕は反復横飛びのようにサイドステップを繰り返し、意味もなく膝に負担をかけつつ、オタクが一番集まる場所、中央通りへと向かった。


平日だというのに、迷彩のズボンにFF6のロックのようなバンダナ、フィンガーレスグローブといった風体の有象無象がたむろしている。
僕は妖しいダークエルフから買った「動きの速くなる軟膏」を両乳首に塗って、敢然とオタクの中へ突っ込んでいった。


動きが速い――乳首だけ!


僕の身体全体の動きは通常通りなのだが、緊張感による乳首の立ちが異常に速いのだ。
血液が巡って徐々に立つというより、次の瞬間には硬くなってたみたいな。
そのくせ男性器の方は、一瞬あるのかないのかわからなくなるくらいに縮こまっている。
仕方がなしに僕は、全身に軟膏を塗布すべく、大勢のキモオタの前で全裸になることにした。

 

ゆっくりとブラウスを脱いでスカートに手をかける。こちらを見るオタク連中が興奮して「ぐぉぉぉ」とか「ぶふぉっぶふぉっ」とか鳴き声をあげている。


僕は男性器も女性器も持つ両性具有者――アンドロギュヌスなのだった。


たわわな胸。白い肌に、桜の花びらのような乳首。それが露わになり、オタク達は秋葉原に1999個設置された「手淫専用トイレ」に争うように駆け込んだ。
そして僕はスカートをも脱いだ。性器が小さくなっているせいで、一見しただけでは完全に女性だ。
風で、色素の薄い髪がそよぐ。

 

糞。

糞を見ている。

毎日見る糞。

終わりのない糞。

赤い糞。

流れる尻血。

雄に染まった世界。

彼の嬌き声。

僕の鳴き声。

僕の肢体を覆うように、大きな肉棒が突いていた。

あらがうこともできずに、

ただ雄汁に染まる自分の尻肉を見ていることしかできなかった。

だから、せめて・・・。

流れる下痢糞を拭いたかった。

だけど、手は縛られていて・・・。

尻を伝う下痢は皺ふぐりに吸い込まれて・・・。

嗅いでいることしかできなくて・・・。

生臭くて・・・。

香しくて・・・。

恍惚だから・・・。

だから、拭かないで・・・。

固体にならない糞。

止まらない糞。

「約束だから・・・」

それは、何の糞だっただろう・・・。

夢が、水の糞に変わっていく・・・。

「うん・・・約束、だよ」

 

脳みそが遠い昔にプレイした『kanon』の「夢。夢を見ている~」のごとくポエムを吐き出す。

 

手淫専用トイレを確保できなかった男たちが僕の体を蹂躙したのだ。しかも両性具有にもかかわらず女性器でなくアナルのみを。

 

男たちによってなすがままだった僕を助けたのは、元SMAPのメンバーで、元SMAPのメンバーこと森くんだった。

 

彼は乗りつけたのバイクのケツに、それまで乗っていた雌マウンテンゴリラを押し退けて僕を跨らせ、地獄絵図と化した秋葉原中央通りから走り去った。

 

でさー、まさかそれが盗んだバイクだとは思わねーじゃん。尾崎でもないし、37歳だし。
で、白バイに追っかけられてお縄になっておポリスさんにぶち込まれるは取調室ですよ。んで、余罪がボロボロ出ましたよ。


特に2次元エロ系の罪だけで500犯近く出ちゃって恥ずかしいやら、恥ずかしさの興奮から乳腺が腫れるやらでね。


まぁ、調書の名前の欄は「アムロ・レイ」ってなってるから大丈夫なんだけどね。
帰りには有名スカドルとデートする権利を800万で売ってくれたし。


結局安室奈美恵の『チェイス・ザ・チャンス』を歌いながら帰ってよしってことで、全裸で長良川に降ろされて(ヘリで)解放となりましたけどね。

 

でさー、長良川の土手にある広場の中央。そこに切り出した石と木で作った祭壇がありやがんの。


その壇上には豪華な聖衣を身に纏った老人がいて、祭壇に上がる階段の前には若き2人の男女がいて、その後ろには500人程度の老苦男女が整然並んでるわけ。
壇上への装飾を施された階段に足をかける2人の若い男と女は、皮膚に果実の汁などで紋様を描いてて、女性の方は金属製の髪飾りが刺さってんのよ。
で、左右にかがり火の焚かれた階段を上がる男と女は、やたら真剣な表情をしてるわけ。
壇上には正面奥に女神を象った像が置かれてて、その前に石作りのテーブルがあって、その上には銀の大きな杯が置かれてんの。で、左右に控えた女が白く濁った酒を注いでんの。


でさー、女のほうが大小様々な宝玉がはめこまれている美術品のような短剣をとりだして。
若い男と女はそれを受け取って、順に手のひらに傷をつけてっさー。流れ出た血は銀の杯に垂らして、白く濁った酒に、赤みがさしてくわけ。
聖衣を纏った老人が古い書物を開いて、古代語で書かれた一節を朗々と唄うように読み上げて、段取りに従って、杯の酒を男と女の2人で飲み乾したわけよ。女の方はちょっと苦しそうでさー。


男が頑張って飲みきって、石のテーブルに杯を戻したら、ふたたび老人がなにやら読み上げたわけ。
で、その本が気になったから、ちょっとタイトルだけ見せてもらったわけ。

 

それが富士伸太『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』だったわけよ。

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元々はやる夫スレのスレタイにしたがって恋愛弱者さんって呼んでたんだけどね!【作者紹介】

作者の富士伸太先生は元々やる夫スレ作者です。次第にやる夫スレのみならずネットに小説の投稿も始め、セルフパブリッシングで『青い鳥はオスかメスかわからないようです』という作品をリリース。

 

 

さらに、一迅社文庫アイリス恋愛ファンタジー大賞において金賞を受賞。ついに『身代わり令嬢と堅物男爵の剣舞曲~貴族令嬢、婚約破棄して駆け落ちした姉の後始末に奔走する~』で商業デビューをはたしました。能力的にはデビューがもっと早くても良かったような気がする実力者です。

 

 

また、当ブログでも「2018年をふりかえる」という記事内で1行程度の寸感を述べています。

yutaarai1983.hatenablog.com


本作『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』は商業作品第2弾となります。


富士伸太先生との出会いは……あれは僕がまだ大統領を目指していた18歳の浪人生時代のことだったかな。陰毛がようやく生え始めるとともに世の中のことが少しずつ分かり始めてきて、僕は明太辛子ブリーフという真っ赤でホカホカのご飯にあいそうなグンゼを搾って、それを点滴として吸収する等の毎日を楽しく過ごしていました。


そう、アレは人生初の自販機でのエロ本購入に踏み切り、深夜にカマチョ号でかっとんでいた帰り、雪が降り積もって、段ボールハウスの自由人も命の危機に縮こまっている寒々しい夜の公園で、富士伸太先生と出会いました。


彼は一人で腹話術の練習をしていました。僕はもの珍しく感じてチャリンコを止め、しばらく見入っていました。


そして彼は僕の視線に気付き、しばらくこちらを見詰め、そしてゆっくり近づいてきたのです。


近づくにつれ、おぼろげなシルエットにすぎなかった富士伸太先生の細部がよくよく見て取れるようになり、その驚異的な姿に、僕はジャンパーの下に挟んでおいたエロ本をバサバサと雪上に落としてしまいました。


驚くべきことに、富士伸太先生が腹話術の人形に使っていたのは、「いっこく堂」自身だったのです。生肛門に腕を捩じ込んで、直腸への絶妙な愛撫加減で自在に口をパカパカさせていたのでした。


そしてその富士伸太先生自身の容貌の美しさ! まるでビスクドールのように整った顔立ちで、さながら実写版榎木津礼二郎(京極夏彦の京極堂シリーズ)。


富士伸太先生は呼吸音が届くくらいの至近距離まで近づき、しばらく僕を見詰めていたと思ったら、手近にあった木の枝をおもむろに拾い上げ、意外なことを言いました。
「今から夜釣りと洒落込まないカイ?」


言い終わるが早いか、小刀で枝を削り、釣竿を仕立ててしまいました。そう、それは魔法のようでした。
そして降り積もった雪の上を複数の狼犬にリヤカーを引かせて、一路新潟の海へと旅立ったのです。

 

到着した頃には、もはや肌は紫色に変色し、感覚は遠退いていました。もしかしたら死ぬかもしれなかったでしょう。


そして新潟の無人の釣り場に着くなり富士伸太先生は、エレクトリカルパレードのごとく電飾が巡らされたマントを羽織って、「こうしてイカ野郎を吸い寄せるのサ!」と放屁音で言い放ち、釣竿に糸をつけて暗い海へと垂らしました。


僕も常に携帯している妹の髪の毛を竿の先端にくくりつけ、ベルトの金を釣り針として、富士伸太先生のように海へと先を垂らしました。


富士伸太先生さんは『アイドル防衛隊ハミングバード』について唄うように語りながら、離婚届の裏にエロイラストを描きつつ、僕は1時間に1度の割合で第一関節から先の骨を折っていました。


次第に話題はビート板を使ったオナニーについてへと移り、富士伸太先生は僕の前で実践してくれると言い放ち海に飛び込みました。――いや、飛び込もうとしましたが、彼の体が水面に達することはありませんでした。


飛び込んだ富士伸太先生は、そのまま巨大なクジラにパックリと喰われてしまったのです!


僕はあわてましたが、冷静な行動が良き結果を生むと思って落ち着き、一旦家に帰って人生をまっとうし、転生に転生を繰り返して美少女となったその生で、富士伸太先生を助けに行くことを決意しました。昭和12年のことです。

 

そして時は流れ2011年。
僕はなんとなくカレー粉をボロボロ崩しながら、新潟の海へとカニ歩き等を駆使して辿り着きました。


そんなこんなでクジラの体内に入り込み、富士伸太先生ことゼペット爺さんと桂米朝師匠のCDを聴きつつやる夫スレを投下するという充実した日々を送りました。

 

作品はその頃から読んでおり、ツイッターでの交流も始まりました。

 

何人かいるぼくの「クソリプ介護士」のひとりで、月のクソリプ介護料が2、30円いくかいかないかの高給取りにもなりました。

 

『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』ってどんな作品?【概略】

小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載されている本作。

https://ncode.syosetu.com/n1621fg/

 

ジャンルいわゆる異世界ファンタジー。トラックやラッセル式除雪車に轢かれての転生ではなく、最初から異世界にいるパターンです。

 

本書の折り返しにある「あらすじ」を引用すると以下の通りです。

 

その日、歴戦の冒険者パーティーに所属していたニックは、父のように慕っていたリーダーから追放を言い渡された。だらしない仲間たちのため、金勘定や知識面などで彼らを支えていたにもかかわらず、横領の濡れ衣を着せられて。
恋人にもフラれ、すっかり落ちぶれてしまったニックだったが、偶然にも酒場で相席になった元貴族令嬢、破門神官、女竜戦士と意気投合する。
三人もまた誰かに裏切られて、人を信じられなくなった冒険者たちだったのだ!
誰も信じられない者同士だからこそ、共にやっていけると考えたニックたちは、生き残っていくために冒険者パーティーを結成する。
「それじゃあ、オレたちはこれから【サバイバーズ】ってことでどうだ?」
人間不信の冒険者たちが、最強のパーティーとして歩む冒険譚、ここに開幕!

 

とまぁ、こんな感じです。

 

メインで登場するのは(とりあえず)4人。

軽戦士のニック。元貴族令嬢のティアーナ。神官のゼム。竜戦士のカラン。

 

それぞれが「人間不信」となった結果かつて所属していた場からはぐれ、しかもろくでもない(?)趣味にハマった結果、身銭も底をつき、いい加減働かなければ明日の生活もままならない立場です。

 

そんな彼らがひょんなことから出会い、互いの境遇を語り合い酒を飲み、翌日、ニックが4人でパーティーを組むことを提案。パーティーを4人で組むメリットは理解しながらも人間不信を引きずるもの同士、なかなか互いを信じるきることできません。


なので互いが互いを監視できるルールを設定。ここに冒険者パーティー「サバイバーズ」が誕生。当面の生活費を稼ぐため、彼らの冒険がスタートすることとなりました。

 

そんな感じで、舞台設定や道具立てはどちらかといえば王道の国産異世界ファンタジー。登場人物たちのキャラクター性とそのやり取りで人と人との間に生まれるものがくせ者なのが本作です。


これが『人間不信のポメラニアンたちが世界を救うようです』だったとしたら、

 

ポメラニアンに筆をとらせてポメラニアン自身の肖像画を描かせる「ポメラニアート」のプロデューサー、ポメラニ山ポメ郎(84歳)が、ポメラニアンとコミュニケーションをとるための言語ポメラニ語を習得したころの話。
当時中学生だったポメ郎は、草原で全裸になり、乳先に花粉をちょいとまぶして寝転がり、チョウが乳輪の内側に止まるのをひたすら待つことを日課としていた。
その際にたまたま出会った美しい少女がポメラニアンの飼い主であり、現在の妻の祖母でもある。
ポメラニアート市場拡大をたくらみ多くのポメラニアンに絵筆をとらせることを強要するポメラニ山夫妻。
虐待のような仕打ちにポメラニアンたちの間から「無理強いはやめて欲しい」「夫婦のセックスの声が気持ち悪い」「ポメラニ山という名字がやばい」との意見が続々とあがり夫妻と対立。
ポメラニアンたちの犯行と離脱に怒り狂った夫妻は「思い通りにならないならこんな世界いらない」とばかりにこの世界を攻撃し始める。
夫妻は人型兵器を開発。また、長嶋茂雄、王貞治に次ぐ国民的人気だったポメ郎を慕って集まった40人の市民とともに私設軍隊を創設。手始めになんとなく山梨県あたりへと侵攻を開始する。
「このままでは山中湖で犬かきを楽しめない」「ぶどう農園に迷惑」と事態を重く見たポメラニアンたちはこちらも犬型兵器を開発。ポメラニ山夫妻の私設軍隊を鎮圧し、山梨ならびに世界を救う戦いへと乗り出した。

 

とかになるわけですよね、あらすじ的には。

 

人型兵器のエースでありタルトプディング愛好家でありポメラニ山夫妻の息子(2歳4か月)も登場。最強の人型兵器「タルトプディンガー《タルトプディングを統べる者》」との時空やら神奈川県との県境やらを越えたバトルあり。

 

よかった、ポメラニアンじゃなくって!

 

いまこれ一番良い作品じゃね、マジで【感想】

以下、線形的なまとまりのある文章にするのが困難であったため、各巻について箇条書き的に感想を述べていきます。

 

1巻「~最強パーティー結成編~」

・以前(デビュー作以前の書籍化してない作品のころ)から思っていたが、まず富士伸太先生は文章うまい。生理的に書きやすい文体で書いているのか作品世界の見せ方に即して選択しているのかは不明だが、まぁうまい。

 

・セリフまわしも上手い、というか好みである。エロゲーシナリオライター丸戸史明の同人小説『時空のデーモン めもらるクーク』に収録されたるーすぼーい(同じくエロゲーシナリオライター)による解説で次のように書かれている文章を思い出す。引用すると『「耳のいい作家」という言葉があるそうです。アメリカのほうに。会話文のセンスを称えた褒め言葉だそうです。』とのこと。ともかく本作は読む快感を感じる口調で、個人的には高畑京一郎『ダブル・キャスト』や菅野ひろゆき『エクソダスギルティー』の現代編と比肩する。

 

・最序盤に4人それぞれの過去エピソードから始まるので、これは下手すりゃ「物語はやく進行しろ。読むのやめて愛人とベッドインすんぞ」と思われるリスクがある構成なはずだが、ここを文章のうまさとキャラ造形のうまさで引っ張ってるのがすばらしい。

 

・個別の過去を描くときはわりと情報と文章密度が高い印象だが、4人がそろってかけあいが始まるとテンポアップしてさらに読みやすくなる。逆にいえばそこまでは相対的に重く感じる。人と人との間に生じる時間と個人の内的な傷に焦点を当てた時に流れる時間の違いなのかもしれないし偶然かもしれない。

 

・男女2対2というパーティーだが、なんとなく将来的に恋愛展開もありそうな気がしないでもない。竜人族という設定のキャラも出てくるが、彼女が人間にとって性愛の対象となるっぽいことは書かれているし。それに4人それぞれの過去の傷に異性との間の問題がふくまれている。

 

・音楽の世界にはかつて「バンドは社会」という言葉があったが、パーティーも社会である。もしくは会社である。ヤマハのポプコンに出るようなバンドは大抵の場合ボーカルの男とキーボードの女がセックスしているというのはみうらじゅんさんの言だが、パーティーもセックスする関係に発展することもありえるだろう。

 

・さすが職を楽しむ富士伸太先生。登場する料理が(安物をのぞけば)いかにも良さげ。僕のような「プロスポーツクラブが出す栄養学的に完ぺきなカーボローディング用のパスタ」みたいなのでもオッケーな人間。要するに麺だけ茹でて粉チーズとタバスコだけで食べても肉体を動かすための多糖類を摂取できるからオッケーっていう、美味しいものを食べたい的こだわりに乏しい人間とはまるで違う。

 

・本書後半に登場する古代文明の遺跡的迷宮や遺物の説明に用いられる言葉がファンタジーというよりもSF的なのが好み。

 

・互いを監視しあうためのルールをパーティー内に設定するという社会化された信頼担保の仕組みと、「絆の剣」というアーティファクトが各人の内的な信頼を判定する仕組みの2重化が、作者の上手いところというかサディスティックなところというか、いずれにせよ感心するところ。これはもし恋愛に発展するならそこでもいきてきそうな気がする。

 

・カラン可愛い。


2巻「~麗しのパラディン編~」

・スラムで生活していることを心配されるカラン愛されてる。可愛い。

 

・ティアーナのキャラが掘り下げられて大変良い。ティアーナみたいな女をパートナーにしたいと思う男は多いと思う(秋葉原とかに)。影狼たちとの戦い後のニックとティアーナの会話シーンにはイラストが欲しかった。神絵師と名高い妹に個人的に描かせるか(妹いないけど)。

 

・「さんすうベアナックル」が始まり、クロディーヌがカランに向かって暴言を吐くのが異様にむかつく。あのクソ女。乳輪の色が銀になればいいのに。カラン可愛い。

 

・ティアーナ本当にいい性格してやがる。

 

・「ミラー」あるいは「ダブル」。サブカル批評をしたくてしょうがなくってフランス現代思想や分析哲学、精神分析や社会学なんかを学んでいる冴えない大学生が文学フリマで発表する批評同人誌に載せるクソ批評文にて用いられそうなジャーゴンでいえばそんな感じのアレなのね、レオンたちって。なるほど。

 

・ティアーナ本当にいいキャラしている。カランからティアーナに乗り換えようかな……いや、ティアーナかっこいい&カラン可愛いでいこうでいこう。日向坂46でなっちょとこさかな両方推しているのと同じように。

 

・ますます古代文明が高度な科学文明だったっぽい気配が漂ってきて好みである。イラストに登場するアーティファクトな聖剣もよく見ると80年代シューティングゲームに出てくる自機のようなデザインだ。

 

・残りページ数がけっこうあるのに2巻のボスっぽい相手を倒しちゃったけどどうするんだろう、これ、と思ったらなるほど。その子にスポットをあてるんだ、と。意味もなく登場することはないだろうとも思ったけど、今巻の中でそうまとめてくるのね、と。話の持っていきかたうまい。

 

・僕たちの世界のライターに相当する(ってわけじゃないんだろうけど)アイテムの使い方がほんとうまかった。この1アイテムに3つくらいの役割を持たせている。男性器が排泄の器官であり生殖のための器官であり暇なときの玩具であるのと同様に。

 

・番外編のカラティア良い……。「アオいいよね」「いい……」という会話をしていたあいつらも「カラティアいいよね」「いい……」って言いそうなレベルで良い。


漫画版1巻の感想

・原作小説とは冒頭の構成が違う。まずは過去をしっかり見せるのはニックだけで他の3キャラはセリフにとどめた。これは正解だと思う。でないと漫画版1巻でほとんど話が進まなくなってしまう。

 

・おっぱい見えるのか……。

 

・ニックやティアーナというどちらかといえば知略家タイプのキャラが登場するため、その思考のモノローグが多くなるのが漫画化で難しい点だろうな、これ。

 

・漫画で見るとティアーナの小柄美少女感可愛い。性欲メーターの値が僕の内部で上昇するのを感じるレベルで

 

・っていうかエロいなこの漫画。中学生時代の自分に時空を超えて転送してあげたいくらいだ。僕が中学生だったころ(1995年4月~1998年3月)にはまだネットが普及していなかったのでエロへのアクセス能力が低く中学2年のころには『MAZE☆爆熱時空』のイラストの乳首とかで体液を出していたので。

 

・カリオスお信じ切ってるカランの表情が可愛すぎて辛い。くそっ……こんな辛い気持ちを味わうならいっそ草や木に生まれてきたかった。

 

裏表紙のデフォルメカラン可愛い。なんとなく『銀河お嬢様伝説ユナ』のユーリィが思い浮かんだが、両者とも食いしん坊可愛いからか。

 

・うっ、ぐっ、うっ……うっ……うぁあああああああっカラーーーーンッ!!!!!!!! って1巻終わったあああああああああああっ!!!!

 

各巻またがった感想

・迷宮都市テラネがどういう街かということを地書きの説明だけでなく、各キャラクターの在り方で立体的に見せているのが優れていると思う。頭の回る登場人物が多く、騙し騙され、騙されぬよう警戒し、身をもちくずす人々もいるけど娯楽も希望も転がってるという。

 

・ありふれた言い方だがキャラクターがどれもこれも魅力的である。キャラを立てようとして上滑りする作品も多いというのに。これは以前からの作者の得意技だ。

 

・その時その時で「自分的には今これがイチオシ!」ってコンテンツがあるが、本作はそれに該当する。『アオアシ』くらい推せる。

 

・カラン可愛い

 

 

 

人間不信の冒険者たちが世界を救うようです 1 (MFC)
 

 

【感想】篠宮夕『氷川先生はオタク彼氏が欲しい。』

ひさびさの更新です。前回のサキュバスものエロマンガ(玉之けだま『僕は小さな淫魔のしもべ』)の感想を7月に投稿して以来ずーっとほったらかしにしていました。

 

あれ以来なにをやっていたのかというと……FC東京の応援をしていました。で、その様子をnoteの方にアップしたり。

 

note.com

他にもお仕事でアイドルやAV女優さんと接近したり、フィギュアのパンツをいっぱい見たりしていました。

 

そんな僕も昨今の不安な情勢下で心に隙間風を感じる日々。ふとした瞬間に「彼氏欲しいなぁ……」なんて口をついてしまったり、それを聞きつけたおっさんに抱かれたりしていました。そして刹那的な繋がりにわずかな安心を覚え依存していく。

 

とまぁ、あいかわらずゴミ以上人糞未満の生活をしていたある日、僕の飼い主になったおっさんにリモコンバイブを肛門に挿入させられたままオタクショップのラノベコーナーにいった折に目についたのが本作『氷川先生はオタク彼氏が欲しい。』でした。

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なんか高貴な雰囲気のお名前【作者紹介】

本作の作者は篠宮夕さん。「アメリカの首都って……滋賀だっけ……?」とナチュラルに口に出してしまうくらい不勉強な僕は今回初めてお名前を知りました。

 

字面だけの印象ですが、なんとも和風な気品にあふれている気がします。

 

せっかく我が家も一昨日からインターネット環境があるので、電話線を差し替えてダイヤルアップ接続し、グーグル検索してみると……。

 

まずは「篠」。これは竹の一種をあらわす言葉だそうです。しかも笹っぽい感じの。つまりパンダまっしぐらということですよ。

 

で、次なるは「宮」。これは神をまつったり、高貴な人が住む場所を意味する言葉ですよ。あとは関西以東に展開するステーキ&ハンバーグレストランの店名でもあります。

 

最後は「夕」。ただちに思い浮かぶのは夕暮れのどこか切なくなるような景色とか。あとは源氏物語の夕顔でしょうか。ちょっと美少女感あります。

 

さて、この篠宮夕さん。

 

第30回ファンタジア大賞に応募の『恋愛推奨国家の英雄譚』が金賞と審査員特別賞とバロンドールを同時受賞。

 

同作を改題した『恋愛至上都市の双騎士』にて2018年1月にデビューなさったそうです。シリーズ化され3巻まで刊行。

 

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

  • 作者:篠宮 夕
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 文庫
 

 

篠宮夕先生にとって第2シリーズとなるのがこの『氷川先生はオタク彼氏が欲しい。』です。期待大だね!

『氷川先生はオタク彼氏が欲しい。』ってどんな小説?【概略】

本作は「2時間目(2巻のこと)」まで出ています。が、僕はまだ1時間目しかゲット&リードをしていないので、1巻がどんな小説なのかについてご紹介いたします。

 

まぁ、ぶっちゃけタイトル通りです。表紙に優しげにこちらに向かって微笑んでいるのが氷川先生で、彼女はオタク彼氏が欲しい人なのです。で、それが主人公である、と。

 

ただ「オタク彼氏が欲しい」願望を抱いているだけならまぁそれはそれでいいのですが、彼氏になっちゃったのが自分の担当するクラスの教え子だからさぁ大変。禁断の恋がスタートしちゃってあれやこれやあるという作品です。あれやこれやの部分は買って読めばわかります。

可愛い表紙につられて手に取ってよかった!【感想】

氷川先生が可愛すぎる!!

西沢5㍉先生の表紙につられてまんまと手を取ったのですが、可愛い絵にふさわしいキャラ造形キャラ描写でした。

 

オタクが漏れ出てくるところや、嘘やごまかしが下手なところ、すねちゃうところ。そんな25歳の年上のお姉さんなんですから、好きな人にはたまらないと思います。はい! 僕好きです!

 

前半部にデートシーンがあるのですが、もうどうしようというくらい甘いシーンの連続で。僕の脳内に住んでる小さい人がスコップでバンバン砂糖をすくっては血管に直に放り込んでくるような展開。それにともない膵臓も次から次へとインスリンを分泌してしまうこと間違いなしでした。

 

このデートシーンでは氷川先生からけっこうグイグイ身を寄せてきたりするのですが、絶妙に恋愛経験ないのがばればれな感じが可愛いんですよね。恋愛鑑識がヒロインの性体験の有無を判定するときに使う化学系の粉末「処女粉」をふりかけるまでもなく男いなさそうといいますか。

 

ともかく「表紙のヒロインが可愛い。それすなわち正義」というラノベとしてもっとも重要と言っても過言ではない執筆上の要諦を見事に実現しているので、「ジャケ買いが成功する」という意味でも良質な商業作品だと思います。プロ作家が書いてるんだから当たり前に思えるかもしれませんがけっこうヤバい本とかありますよ? 『太陽系全土の♀がすべて俺に惚れていてそこそこ忙しい』ってラノベなんか全450のうち7割がイルカ型宇宙人の鳴き声ですよ? そんな本があるかどうか知らねーけど。


小説としてよくできていると思う

いや、すいません、なんか偉そうなこと言っちゃって。ほんと上から目線で。右肩に刺さったままの釘を「めんどくさいから」という理由で17年放置しているくらいダメな人間なのに上から目線でほんとうに申し訳ないですけど。

 

ただ、やはり素晴らしいと思ったんですよ。

 

本作品はラノベらしく一人称で書かれています。で、当然ながら高校生である主人公視点で物語は進むのですが、要所要所で氷川先生の一人称で進行するパートがあるんですよね。これって下手をすれば視点がガチャガチャずれて読みにくさを感じたりしかねないわけで、演出的に成功しなければ余計でしかないと思うんです。彼女のいない僕の生殖能力並みに余計なわけです。

 

しかし、氷川先生パートを読んでいると、可愛いくせに恋愛経験がなく、それでいて初めての彼が年下かつ禁断の関係であるという条件下で相手のことを想ったりする感情の機微が細やかに伝わってくるんですよね。

 

なので読み手としては

 

「ああああああーーーーーーーーーー、このふたり上手くいってええええええええええええ!!!!!! 素直になってえええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」

 

みたいなことを強く思ってしまいます。

 

つまりこの視点切り替えをするという選択は成功していると思います。

 

また、設定が過不足なく設定されているのもうまいところ。

 

オタクという属性がたんにありがちなラノベキャラの設定として付与されているのではなく、物語上でちゃんと活かされて結末を迎えるし、氷川先生の恋愛経験がないままの25歳という設定も心情描写のなかで上手く使われている。

 

つまり小説としての「結構」がよくできている、ということなんですよね。素人の分際でこんなこというのもほんとうに身の程知らずですけど。

 

また、友達のほぼいない主人公ですが、彼もいいです。

 

まず、数少ない人間関係に助けられながら前に進んでいくという、人間関係にめぐまれている点。

 

さらに、一見すると優柔不断だったり主体性がないように評価されるかもしれない人物なのですが、高校2年生のオタクが初めての恋愛をしているとしたらなかなかにリアリティがあるんじゃないでしょうか。感情移入や共感を呼ぶとも思います。

 

主人公の人との関わりや心情を描くというのが「小説」だとするなら、ラノベとしてエンタメとして「小説」としてよくできているんだと思います。

 

要するに総合すると「良い小説」なんですよ、これ。うん。良いぞ。

【感想】玉之けだま『僕は小さな淫魔のしもべ』

夜、眠るじゃないですか。独身オタク男性だから独り寂しく。犬のぬいぐるみの抱き枕をぎゅっとしつつ。

 

そうしたら、すべてのものに等しく朝がやってくるじゃないですか。で、起きるじゃないですか。

 

起きたら労働に行くわけじゃないですか、すき家で4店舗掛け持ちワンオペ、ピラミッドの建築などの。

 

で、いい大人なので遅刻をするわけにはいかないにもかかわらず、急に

 

「いま、オナニーすべきだ!!」

 

と、脳が直接、神からの天啓を受信することってあるじゃないですか、だいたい3週間に1度くらいの頻度で。

 

そして、遅刻と射精を天秤にかけつつも手淫に突入。

 

己の怒張した男根に性的刺激を与え、なんとか遅刻せずに住む時間に射精完了……したはいいんですが……。

 

鼻セレブが女神のごとく優しく受け止めてくれた白濁液の量がおそろしく少ない。

 

そんなとき、

 

「寝てる間に搾り取られてる!?」

 

と、サキュバスの存在を疑うことありませんか?

 

で、搾精するサキュバスが映るかもしれないと思ってカメラを仕掛けて眠りにつくも、羽と尻尾の生えたエッチな美少女は一切映っておらず。

 

巨大な鎌を携えたローブ姿の骸骨は映っていたけれど、他には異常なし。

 

そんな日々を送っている僕が、発売を楽しみにし、お店に並ぶなり即オタクショップのエロ売り場に突入し購入したのが、本作。

 

玉之けだま先生の『僕は小さな淫魔のしもべ』でした。

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おそらく毛玉ではなく人類だと思われる【作者紹介】

作者の玉之けだま先生。

 

毛玉牛乳という同人サークルで東方Projectやオリジナルのえっちな薄い本を出したり、ライトノベルやゲーム、グッズなどのイラストを手がけている絵描き様です。

 

お仕事の一覧は公式の「info」のページが詳らかですので、18歳以上~老衰死未満の方々はそちらをご覧くださいませ。

cult.jp

『僕は小さな淫魔のしもべ』ってどんな漫画?【概略】

本作はサークル毛玉牛乳からリリースしたフルカラー同人誌『僕はちいさなサキュバスのしもべ』と、同作のキャラを描いた茜新社のロリババア専門エロマンガ雑誌である「永遠娘(とわこ)」誌上での連載を収録したものとなっています。

 

内容はロリサキュバスもの。

 

つまりロリなサキュバスのえっちな本です。(一つ前の文と同内容ですが、大事なことであり、しかもタイピングしてるだけでえっちな気持ちになるので2回書きました)

 

といっても、現代の義務教育の教科書ではサキュバスに関する記述がないので、ご存知ない方々もごく少数とはいえいらっしゃるかもしれません。

 

なので、TEAS事務所著の『萌える!淫魔事典』から、「サキュバス」なる存在についての説明を簡単に引用をしてみましょう。

 サキュバスとは、キリスト教徒に古くから信じられていた悪魔の一種です。外見は人間の女性に近く、おもに夜眠っている男性を襲ってセックスを行います。
 サキュバスがセックスをする目的はあきらかではなく、人間を堕落させるためだとも、精液を採取するためだともいわれています。サキュバスとのセックスを長期間にわたって続けた者は、しだいに衰弱していき、最終的には命を落としたという記録もあります。

 

つまり、ドスケベ美少女悪魔さんということです。

 

キリスト教のおっさんたちにとっては「こら! 搾り取るな! あとみんなで食べる唐揚げに勝手にレモン汁搾るな!」という怒りの対象ですが、独身キモオターズにとっては、死ぬ可能性があるという点にさえ目をつぶれば夢のようなありがたい存在です。

 

あらすじは以下のとおり。

 

告白してフラれた主人公・将吾は、そのまま勢いでバイトも辞めて、なかば引きこもりに状態に。


そこにあらわれたサキュバスのティファニー。


フェラチオでの搾精から、セックスに突入。


全身の液体を精液として搾り取られ殺されそうになった将吾は、明日もその次の日も精液を提供し下僕になることと引き換えに、その場を生き延びる。


その日を境に、ティファニーと、さらには妹分であるクロエとの同居生活が始まる。

 

ぜひ続編をお願いします【感想】

さて、『僕は小さな淫魔のしもべ』の感想ですが。

 

その前に、まずは毛玉牛乳発行の薄い本『甘リリス』の話からさせてください。村はずれのお地蔵様へのお供えは欠かさないのでさせてください。

ec.toranoana.jp

この薄い本の画像をけだま先生ご本人がツイートしたものが僕の二次元とサッカーとクラブミュージックとSF小説、ならびにじゃっかんの西洋哲学に満ちたタイムラインに姿をあらわしたのが、出会いでした。

 

絵柄、配色と塗り、サキュバスの貧乳を背後から揉むという素晴らしいシチュ、おっぱいアップのコマ割り、乳首部分だけつんっと持ち上がった服と、薄い布越しに乳首の色がほんのり透けているその拘りなどなどに心をつかまれ、それまで存じ上げなかったにもかかわらず、

 

「これ、ぜったい買うやつでしょ」

 

と即刻決意。

 

山手線車内で読み始めたい気持ちを必死でおさえ、自室で本を開いたところ。

 

癒されまくりました。

 

膝枕耳かきはしてくれるし、お風呂でお風呂ならではのことしてくれるし、料理はしてくれるし、マッサージで疲れを取ってくれようとするし、えっちなことをさせてくれるし、セリフまわしが優しげだし。

 

授乳手コキからの射精シーンで、ちょっと根元を掴んで射精をおさえこんでくるのですが、すぐさま「ゴメンね」と口で吸い出してくれる根っからの優しさ。

 

悪魔でありながら、天使以上に天使な性格。

 

まさに近藤真彦「ミッドナイト・シャッフル」で歌われている

 

「天使のような 悪魔の笑顔」

 

というやつです。

 

エロい本の主要な目的は、性的な興奮を促しシコらせることにあると思いますが、可愛いエロに癒されるリラックス効果もあるのだなと思いました。

 

「ストレス社会で闘うあなたに。チョコレートで ほっとしよう。」のメンタルバランスチョコレートGABAや、アロマオイルと同じフロアで、18禁リラックスアイテムとして販売するのもありかもしれません。

 

実際僕は、精神的な疲労感や、怒りで心がとげとげしてるときに眺めて癒されていました。

 

同人誌は専用の収納ボックスにしまっているのですが、この本はすぐに取り出せるように、パソコン傍の書類入れに、サッカーのFC東京の応援に行った際にもらったマッチデープログラムやなんかとともにしまってあります。

 

前々からサキュバスのことはファミチキ以上電気グルーヴ未満くらいには好きでしたが、『甘リリス』効果でより一層好きになり、

 

 

なんてツイートもするようになりました。

 

そして――

 

期待に胸と股間と釣り上げたばかりの深海魚をふくらませながら発売を迎えた『僕は小さな淫魔のしもべ』

 

『甘リリス』のサキュバスが「サキュママ」と称されるような母性キャラだとするなら、本書ではうって変わってS寄りなサキュバスさんたちが登場。たっぷりと別の性癖を満たしてくれました。

 

登場するサキュバスは3人。そのうち、メインで登場するのは2人でともにロリ。

 

ロリのエロで大好きな要素といえば、陰唇(ラテン語でいえば「ラビア」。僕のオリジナルのキモい言い方でいえば「シャドウ・リップ」)のプニプニ感って大事だと思うのですが、これが閉じた状態も、おちんちんが押し込まれた状態も、衣装が割れ目を隠してる状態も抜群のプニ感なんですよね。

 

しかも幼い子特有のおなかのぷっくりした感じを、膣でたっぷりと精液を飲み込んだ状態で描写していたり、ロリに搾り取っていただいた際の嬉しい要素をちゃんと乗っけてくれている。

 

この作品で気に入った点として、キャラは絵的な可愛さももちろんなのですが、日常描写や、キャラの背景となる過去のシーンを描いてくれている点があります。

 

ゲームをしたり、おかしのチーズを食べたり。

 

ちょっと辛い過去があったけれど、それ故に現在の関係性があったり。

 

基本はエロマンガなのでエッチをしまくってるわけですが、その合間合間にエッチ以外の要素があることで、キャラへの好感度が高まり、より一層可愛く思えてくるんですよね。

 

その可愛さの倍増ぶりときたら、可愛いという概念をもたないンジャンゾボナバフ族も、彼らの用いるグヌゾブヌバナ語で「可愛い」という概念を発明してしまうくらい可愛いです。

 

「てぃふぁにーモくろえモカワイイ!!!!! ……オレノヨメ、カワイイ、チガウ……」

 

と、ンジャンゾボナバフ族の男の興奮(とンジャンゾボナバフ族の女に対する嘆き)の声が聞こえてきそうなくらい、それくらい可愛さを高める効果を発揮していると思いました。

 

性癖は多種多様で、しかも本作は特定の性癖を狙い撃ちしてるタイプの作品。

 

なので万人受けするタイプではないかもしれません。

 

しかし、性癖ぴったりなら、ぜったいに高いレベルで満足感をあたえてるハイクオリティな作品なことは間違いないです。

 

なんなら、性癖外の方も、新しい趣向を開花させてくれるかもしれません。

 

ともあれ、少しでも気になった方は購入をしてみることをおすすめします!

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【感想】椎月アサミ『恋愛禁止のアイドルだけど、お兄ちゃんなら恋してもいいよねっ?』

ツイッターで大量に絵描きをフォローしてると、可愛い絵、えっちな絵、逮捕したほうがいいくらいえっちな絵が24時間体制で流れてきますよね。

 

そのせいで、射精から30分もしないうちにツイート界から性的欲望が刺激され手淫がしたくなる――そんなゴミみたいな日々。

 

みなさんは送ってらっしゃらないでしょうか。

 

……そうですか……ぼくだけですか……。

 

本書『恋愛禁止のアイドルだけど、お兄ちゃんなら恋してもいいよねっ?』も、そんな二次元塗れのTL上で、イラストレーターであるシロガネヒナさんのツイートを目にしたことから購入しました。

 

そんな絵師買いシリーズ第一弾

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『恋愛禁止のアイドルだけど、お兄ちゃんなら恋してもいいよねっ?』ってどんな作品?【概略】

裏表紙のあらすじが、なかなか卓抜な要約だったので引用してみましょう。

 

夢みたいにキラキラしていて、ファンの心を惹きつけてやまない存在――アイドル。
それまで灰色だった僕の人生は、アイドルグループ『あまがみシャノワール』の美亜との出会いによって、一気に色づきはじめた。
僕が美亜の可憐な姿に惹かれ、一生応援しようと心に誓っていると、ある日、海外赴任中の母親から、家族が増えるという連絡を受ける。
そして、新しい家族との待ち合わせ場所に向かった僕が出会ったのは……なんと美亜だった! 
彼女は家庭の事情で、うちの家族になることになったらしい。
つまり、アイドルが妹になったのだ! 
そして、妹になったアイドルとの、夢のような同居生活が始まり……!? 
アイドル=妹なハートフル青春ラブコメ!

 

僕はアイドルには超絶疎いのですが、一人称で書かれているせいか、文章からも「この作者さん、実際に現場を知ってるな!」感がひしひし伝わってきます。

 

妹になる、という設定はいかにもライトノベル的ですが、作者さんが実際に見聞き体験したリアルなアイドル現場が描かれているんじゃないでしょうか。

 

名前に漢字が少ないとルー語的な読み方がしにくいよね【作者紹介】

作者の椎月アサミ先生

 

2013年に第三回講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞してデビューしたそうです。

 

「えーっとえーっと……徳川幕府の3代目将軍は……アガサ・クリスティーだっけ……?」とナチュラルに言ってしまうくらい不勉強なぼくは、本作で初めて、その存在を知りました。

 

これまでの作品はすべて講談社ラノベ文庫からリリースされてるようです。

 

以下はその一覧。

 

  • 星撃の蒼い魔剣
  • V系バンドの王子様が実は学園一の美少女お嬢様なのは秘密にしてくれ
  • カラフル――明日の君は、十二月のひまわり。

 

まだ本作しか読んだことありませんが、次に手をつけるなら『カラフル――明日の君は、十二月のひまわり。』かなぁ、と思ってます。


【ネタバレしない程度に感想】

このプロローグはすごい

主人公である蒼士が、アイドルグループ『あまがみシャノワール』のメンバーである美亜が配布していたイベント告知のフライヤーを受け取り、そのままイベントに参加する、という、『ハチミツとクローバー』の「人が恋に落ちる瞬間を、初めて見てしまった」ならぬ「人がオタになる瞬間を、初めて見てしまった」なプロローグ。

 

これはなかなかヤバいパートです。

 

アイドルとの出会い、イベントでのライブ、握手会、とアイドルが魅力を放出しまくる時間を一人称視点で描いているのですが、主人公の内部で紡がれている言葉の数々が、ともすれば「事案」になりそうな表現の連発なんですよね。


「軽やかに弾む声、薔薇色の頬、守ってあげたくなるような小さな体躯」

「ふわふわのスカートが翻り、白い太ももがやわらかく弾む」

「美亜の微笑みは、春の陽だまりのように暖かい」

 

なんてフレーズたち。

 

率直に言いますが、僕は幼い女の子を性的な目で見てしまうタイプです(とはいえノータッチを貫くべく、幼い女の子のそばでは自らの腕を切り落とすことにしています(トカゲの遺伝子を組み込んであるので生えてくるから無問題です))。

 

なので、この犯罪すれすれの目線に、

 

「うんうん、わかるわかる」

 

なんて大いに共感しました。

 

「美亜の指先は、天子の羽のように優しく、柔らかい。触れた部分から全身が浄化されるような、清らかな気持ちになる」

 

なんて表現にいたっては、共感のみならず、10代の美少女の肉体が、僕のような30代キモオタとまるで違う物質で構成されているという生物学的発見にまでいたりました。

 

こうした文字列を読み進めていると、共感ゆえにこちらの脳も、まるで麻薬を叩き込まれたかのように蕩けていってしまうんですよね。

 

このプロローグ時点で、

 

「このヤバい多幸感がこのあとも続くのではないか? 裏表紙に書かれたあらすじ的にも」

 

なんて思ったのですが……

 

事実、そのとおりになったのでした。


けっこうリアルなアイドル小説だね

本作に登場するアイドルグループ「あまがみシャノワール」は4人組アイドル。

 

他にもドルオタ仲間の女性も登場し、いちおう5人くらいは女性キャラがいるのですが、作品の8割以上が美亜の魅力と主人公との関係性を描くことに裂かれています。

 

描かれるのは、より身近で、プライベートを支えながら見るアイドルとしての美亜。

腹違いの妹であり、ぐいぐい甘えてくる妹としての美亜。

 

12歳の中学1年生でありながら、異性としての魅力を感じさせる美亜(ラッキースケベシーン有り)。

 

その三種が、混在する形で描かれてるんですよね。

 

これは、男性が女性アイドルに対して抱くリアルな感情だと思いました。

 

がんばっている姿可愛く輝く姿を純粋に推しながらも、性愛的な欲望がどこかしら存在する。

 

多くの場合は自分より年下の少女であるため、育てる意識を伴った擬似的な妹性を感じもする。

 

恋愛が禁止ということになっていて、男と繋がって欲しくはないのに、歌われる恋愛の歌。そして奥底に隠してある恋の対象になりという叶わない願い。

 

そうした欲求を満たす特権的な条件下に主人公は身をおいていて、絶妙な効果を生む設定だと思いました。

 

にもかかわらず、ドロっとした欲塗れの作品にならずに、あたたかで優しい色合いにみちているのは、主人公の性格設定の上手さにあると思いました。彼の誠実さがバランスを取っている。

 

主人公の性格設定のおかげで、まさに本書帯に書かれた「アイドル=妹!?守ってあげたくなるアイドルとの、いちゃいちゃ妹ラブコメ!」の言葉に嘘偽りのないものとなっています。

 

これならJARO・日本広告審査機構もニッコリです。

 

最後に

続巻が出て欲しいけど、どうなるんでしょうか。

 

いくつか未回収の伏線というか、作者の方は考えたんだろうけど作品には入りきらなかったであろうネタがありそうです。

 

それに4人アイドルそれぞれを描き分けているのに、物語は美亜を中心にしたものだったので、まだまだ書けることはありそうですし。

 

ラブコメとしてみんながみんな攻略対象になっても、なんだかこの主人公はふらふらと行ったり来たりしそうにないですが。

 

ここで終わってしまっても、ラストシーンに至るための話として読めばじゅうぶんな気もします。

 

とはいえ、続いて欲しいし、続けられそうでもある。

 

どちらに転んでも個人的には問題ないですが、でも、もうちょい、先の話も見てみたいかも。

 

なぁんて。

 

恋愛禁止のアイドルだけど、お兄ちゃんなら恋してもいいよねっ? (講談社ラノベ文庫)

恋愛禁止のアイドルだけど、お兄ちゃんなら恋してもいいよねっ? (講談社ラノベ文庫)

 

 

【感想】猫又ぬこ『絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺1~2』

断頭台の上におちんちんを載せ、面白半分に刃を落とすべきか、それともおちんちんを大切にするべきか迷うこと1時間余……。

 

断頭台の設置場所を東京駅銀の鈴広場にしたため、駅員たちの間で「ギロちんちんの人邪魔だから撤去しよう」と議決され、断頭台とともにぼくは運び出されることとなったのでした。

 

どこからともなく用意された大き目の台車。

 

おちんちんを載せた断頭台ごと運ばれるぼく。

 

その台車の行き着いた先は、丸善丸の内店のラノベコーナー。

 

そして、運搬を手がけた駅員さんがラノベ新刊の棚を指差し、

 

「ねぇ、これでも読んでから、おちんちんを去勢するかどうか決めたら?」

 

なんて提案してくれたのが、タイトルと表紙イラストからして「これぜったいえっちで可愛いヤツじゃん」と確信できた本書――猫又ぬこ『絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺』なのでした。

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ファンレターのかわりにマタタビを送っちゃだめなのかえ?【作者紹介】

作者の猫又ぬこ先生。

 

掛け算九九が四の段の途中までしかできないくらい不勉強なぼくは、本作で初めて、その存在を知りました。

 

表紙に書かれた「猫又ぬこ」の文字列を見て最初に思ったこと。

 

それは、英語にすると、Cat onece more Cat.だなぁ、ということ。

 

フルで英語にせず、水野良先生をWater野Good先生に変換するのと同じく、間の漢字残すなら、Cat又Cat先生です。

 

きっと、その場合は省略をされて「キャト又(きゃとまた)先生」と呼ばれるようになるでしょう。

 

キャト又キャト又……と発音を繰り返すうちにある段階で「かつまた先生」と呼ばれかねないでしょう。アッコにおまかせ出演もありうるかもしれません。

 

さて、この猫又ぬこ先生ですが、第7回HJ文庫大賞の拾い上げで作家デビューをなさった方だそうです。

 

このブログの主要な読者層である戦中派~焼け跡世代の方々は、

 

「拾い上げってなんだ?」

 

とお思いでしょう。

 

新人賞っていうのは、受賞作、もしくは受賞作家だけが世に出るわけではないのです。

 

編集者の方が「この人、受賞には至らなかったけど、おもしろい気もするし、小部数だけど世に放ってみようかな。ものになるかもしれないし」と思った場合なんかにも世に出るチャンスがもらえるのです。

 

それが「拾い上げ」というやつです。

 

他にも「この人、体から大量のエチレンガスを放ってるし、青いトマトや硬いキウイのそばに置いておくと、すぐに野菜や果物が食べごろになるぞ」という場合にも、打ち合わせで来社させると便利そうだからとの理由で拾い上げてもらえることがあるとかないとか。


それにしても、ペンネーム、良いですね。

 

猫派であり、

 

なおかつビアンカ派でもあり、

 

であると同時に、シンシアのはねぼうしは売らずに最後までもっておく派であり、

 

どちらかといえば目玉焼きにはソース派であり、

 

ついでに言うならきのこ派の女とたけのこ派の女を同時にベッドで相手する派であり、

 

シーア派兼スンニ派兼アララギ派であり、

 

それでいて犬派である、

 

そんな僕としては「猫又ぬこ」っていうペンネームだけで、なんだか好きになってしまいますワン!

 

猫まっしぐらな作品一覧はこちら。

 

HJ文庫

  • チート剣士の海中ダンジョン攻略記水着娘とハーレム巨船
  • アイテムチートな奴隷ハーレム建国記
  • 魔王さまと行く! ワンランク上の異世界ツアー! !
  • 嫌われ魔王が没落令嬢と恋に落ちて何が悪い!

講談社ラノベ文庫

  • こいつらの正体が女だと俺だけが知っている
  • 絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺
  • 幼なじみは負けフラグって本当ですか?
  • SSSランク賞金首のバカップル、ドラゴン娘を拾う
  • 勇者と勇者と勇者に愛されすぎて修羅場

 

まだ本作しか読んだことないので、どれも気になってます!

『絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺』ってどんな作品?【概略】

主人公である近衛虎鉄は、話作りには問題があるものの、とんでもなくエロい絵を描いてしまう新人漫画家。


ある日、連載をつかみとるべく担当編集のもとに漫画を持っていくと、ボツをくらったものの、同社の売れっ子ラノベ作家鬼瓦勘兵衛の新作で、イラストレーターとしての仕事を頼まれます。


報酬と、売れっ子作家といっしょに仕事をすることで話作りを学べるという提案にひかれた主人公は、そのままイラストレーターを引き受けることを決断。


打ち合わせのために鬼瓦先生の仕事場をたずねると、出迎えたのはあどけなさの残る美少女。


その美少女こそが、なんと鬼瓦勘兵衛こと戌亥詩織でした。


さっそくちょっとエッチなめにあいうれしいと思ったのも束の間、主人公は仕事場にある鉄格子の中に入れられ、監禁され、そのまま同棲することになってしまいます。


鬼瓦先生がどんな作家なのか疑問に思った主人公がスマホで検索。


すると出てくる半端ない伝説。


鬼瓦先生は超速筆で次々と新作を書き上げるため、次々と新刊イラストの仕事がイラストレーターを襲い、ついには病院送りにしてしまう、「絵師殺し」の異名をとる人物だったのでした。


そんなこんなでイラストの仕事を始めたところ、主人公の絵に惚れたさらなる美少女ラノベ作家たちが登場し、主人公と仕事をしたがる。


そしてエッチなことも。

 

といった感じの内容です。

 

つまり。

ここ何年か、異世界転生モノ同様に流行っているクリエイターものラブコメ。

それのエッチなこと多目が本作です。

 

あー、俺もエロい絵師になっておけばよかった【ネタバレしない程度に感想】

なんで俺は絵描きじゃないんだ?

副総理なんかやってるんだ?

 

ともかく主人公は絵のエロさ一点でヒロインたちに仕事のパートナーとなって欲しがられるし、そのためにヒロイン側からエッチなことをがんがん仕掛けてきてくれるんですよね。

 

この羨ましさたるや。

 

読んでいて、主人公に対する嫉妬で歯軋りし、奥歯を奥歯で噛み砕くレベルでした。

 

ぼくもかつて『萌えキャラクターの描き方 顔・からだ編』なる本を購入し、美少女を描く練習をしたことが一瞬だけありました。

 

しかし、いわゆる三日坊主的に、短期間で投げ出してしまったのです。

 

そのときの自分を恨めしく思う程度には、本作の主人公の置かれてる境遇は羨ましい限りでした。

 

ラブコメの基本のひとつに「現実にはありえないような羨ましい状況に主人公が置かれる」があるとしたら(あると思いますが)、その需要は満たしてると思いました。


キャラがたってるー!

クララが立った! カタストロフ前日に立った!

 

とまぁ、オールドスクールなジャパニーズアニメーションでも言われてるように、キャラが立つことは大事です。

 

また、キャラが立つことで読者を勃たせることもほんとうに大事です。

 

いちばんのヒロインはタイトルに名前があり、1巻の表紙でもある戌亥詩織ですが、個人的に惹かれたのは肉棒ぬめぬめ先生こと二宮狐々亜でした。

 

かなり残念な変態で、しかもストーリーの進行とともに新たな性癖に目覚めていく。

 

それがエロいというよりも、ギャグになっていて楽しいんですよね。エロいんですけどね!

 

どちらかというと正統派ヒロインの皮をかぶっているのに残念なところがすごく可愛かったです。

 

あとは、主人公のクラスメイト男子の山田。

 

いまのところ、ストーリーの本線にとってさほど大事なキャラではありませんし、今後の活躍もなかなかあやしいやつではあります。


けれど、要所要所に登場し、良いやつでありながらモテない男子の悲哀を見せてくれる、男としては愛すべきやつです。登場すると妙にうれしくなります。

 

なんだか残念キャラにばかり注視してますが、それが作品の魅力の一部であり、惹かれたところでした。

 

エロいようでいて、意外とアツいラブコメになっていく予感!

基本的にはエロとギャグ満載のラブコメなんですけど、登場人物がラノベ作家と漫画家(イラストレーター)、そして担当編集ということで、そちらの方面もちゃんと描かれています。

 

そしてこれがけっこうまっとうなクリエイターの情熱が描かれているんですよね。

 

今後も巻数が進んで彼らの仕事も進んでいくとき、そのときに何かの壁とぶつかったり、乗り越えたりするのかなーっと。

 

それがラブコメ展開と、たんに並行するだけでなく相互にうまく絡みあうと、小説や漫画、なんなら二次創作ややる夫スレ作者たちの共感を呼ぶアツい作品になっていくのではないかなと思い、期待しています。

 

イラストにもちょっと触れると・・・

ぱん氏によるイラスト。

 

どれも可愛いんですけど、1巻の表紙と中表紙の鬼瓦先生のイラスト。

 

これ、左右のおっぱいの距離感が良いですよね! 貧乳感あるし、艶かしくって、ほんのりリアルさがあって!

 

おもわずイラストを指で触ってみてしまいました。

 

……うん、わかってはいたけれど、紙の感触しかしないですね。

 

しかたないのでイラスト見ながら妹に触らせてもらいました。

 

あと、妹に「今日の膣具合どんな感じ?」って聞いたら、俺の人差し指をキュッと握って「こんな感じだよっ」って返答されました。


以上!

 

3巻も楽しみにしています!!

 

 

絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺 (講談社ラノベ文庫)

絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺 (講談社ラノベ文庫)

 

 

絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺2 (講談社ラノベ文庫)

絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺2 (講談社ラノベ文庫)

 

 

【感想】Leo the football『Leo the footballのしゃべくりサッカー部 欧州編』

どうも。

 

全盛期のフェライニみたいなアフロの女にフェラチオしてもらってると陰毛が大量に増殖したように見えて一瞬驚くことあるよね、

 

でお馴染みLeo the footballじゃない者です。


いっぇーーい!! みんな、YouTube見てるぅうううーーーーー?????

 

えっ? 永遠の愛情を誓ったパートナーと同じ方向をむいて、ふたりとこれから生まれてくる子供の未来を見てる?

 

……僕はYouTube見てますけど。家庭がないので、YouTube見てる時間的余裕があるので……。

 

鼻の角栓をピンセットで取り除くだけの動画と、お尻を売りにしているグラビアアイドルの、お尻とおっぱいを最新のデジタル技術で入れ換える作業過程を記録した動画を見てますけど……。

 

そんな「祖母の年金をつかって風俗に行ってプレイ後に説教と求婚をする42歳無職」よりも数段階ゴミめいた暮らしをしている僕が、他に見ている数少ないYouTube動画が、蹴球思想家を名乗りし男・Leo the footballの「Leo the football TV」なんですが、この番組の書籍版というのが出たので読みました。

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ネット発で本に! まるでなろう小説だね!


サッカー動画検索してるとよく見かけるなおまえ!【著者紹介】

どうも。

 

海外サッカーのダイジェストにナレーションをつけるときの青嶋達也アナウンサーになれる薬と、テンションが最高潮のときのDJ KOOになれる薬を同時に注射すると3日くらいお腹が緩くなるよね、

 

でお馴染みLeo the footballじゃない者です。

 

さて、蹴球思想家・Leo the footballとは何者でしょうか。

 

蹴球で思想家といえば、パリ・サンジェルマンのファンでプロ選手を目指していた哲学者のジャック・デリダが思い浮かびますが、こちらのLeo the footballさんは哲学者ではありません。

 

「Leo the football TV」というYoTubeチャンネルでサッカーに特化した番組をアップしているYouTuberなのです。

www.youtube.com

この方、元々は「レオ」という名義で吉本興業でお笑い芸人をなさっていたようで、ネットを探せば当時のネタの動画が残っています。

 

役割分担のボケ・ツッコミ・料理長では、基本的にはボケを担当。

 

しかし、2013年には当時組んでいたコンビを解散。

 

その後、相方がゲーム実況をしていたチャンネル内でサッカーについて語りだし、後に現在のLeo the football TVとして独立。今に至る、という感じだそうです。

 

より詳しくは以下のnoteを参照。

note.mu



ご覧になればわかりますが、けっこうイケメンです。

 

見た目はLeo the footballさんをスキャンして、3Dプリンタで出力してから、3Dプリンタを取り囲む魔法陣に沿って青海苔をバラ巻いたような感じ、といって良いでしょう。

 

もうちょっと具体的に言えば、スーパーファミコン用ソフト『大爆笑!!人生劇場 ドキドキ青春編』で、イケメン化に成功したときみたいな髪型をしており、眼球の前には硬質の透明な楕円形の膜を2枚つり下げております。パンクブーブーのツッコミの人もおなじものを耳と鼻にひっかけていますが、なんでしょうね、これ……。

 

三十歳を過ぎても合コンに戦力として呼ばれるそうで、たしかにモテそうです。

 

オタクサークルにオタサーの姫、トリケラトプスサークルにトリケラトプサーの姫がいるように、サッカーサークルにサッサーの姫がいた場合、荒川や多摩川土手グラウンドでのサークル活動中、常に隣にサッサーの姫が付きまとってきてそうなタイプです。

 

……今気がついたけど、サッサーの姫って略すと「ササ姫(ささき(佐々木))」にならない?

 

投稿している動画はもっぱら、ヨーロッパの主要なリーグやJリーグと代表について。

 

戦術的な分析をしたり、ひとりの選手にスポットをあてて語ったり、その他代表メンバーのプレビューや、なかば提言的な仮想のチームや戦術について語るなどのバラエティに富んだもの。

 

その他、最近流行りの「裏解説」と称される、試合を見ながらの解説生放送を頻繁に配信しています。

 

解説生放送をのぞけば、動画は基本的に15~20分程度の見やすい内容で、僕の基準でいえば手淫を3回できる程度の時間です。1日の手淫回数を4回に抑えれば視聴時間を捻出できます。

 

ラジオやなんかで時々ありますが、毎回毎回、動画の冒頭と締めの挨拶は同じ形式です。

 

たとえば、

 

「林原めぐみのTokyo Boogie Night」の

 

冒頭「皆さんこんばんは、林原めぐみです。一週間のご無沙汰いかがお過ごしだったでしょうか」と

 

締め「来週も絶対See you again. お休み、バイバイ」。

 

「タモリ倶楽部」の

 

冒頭「毎度おなじみ流浪の番組、タモリ倶楽部でございます」。

 

「カーセックス応援レディオ アイル豚セナ夫のオールナイト日暮里」の

 

冒頭「パッコンパッコンこんばんパッコン。あなたと車のWピストン」

 

締め「……ほんとうは彼女いたことないんですよね」

 

みたいな感じですね。

 

「Leo the football TV」では、

 

冒頭「どうも。○○△△だよね」(○○△△には毎回別のネタが入る)

 

締め「いいね、コメント、チャンネル登録、直近の宣伝、Leo the footballでした。Bye Bye」(Bye Byeは「ぶぁぶぁっ」みたいな発音)

 

です。

 

この記事でも形式をかりさせてもらっています。

 

……日暮里あたりってカーセックスに適した場所なくない?

 

とまぁ、こんな感じのLeo the footballと「Leo the football TV」ですが、もちろんここが彼の主戦場であるわけですが、J SPORTSの人気サッカー番組「Foot!」の火曜日レギュラー、ヨコハマ・フットボール映画祭などでのトークイベント出演、本書の出版と枕営業をしたわけでもないのに活躍の場はどんどん広がっていっています。

 

その他、音楽活動もなさっていて、それ用のチャンネルもあり、配信での購入も可能です。

www.youtube.com

 

 

『Leo the footballのしゃべくりサッカー部 欧州編』ってどんな本?【概略】

どうも。

 

ルーフ金沢って名前の風俗店をたまたま見つけて、「もしかしたらサッカークラブっぽい名前の風俗ってけっこうあるのかな?」って思って風俗情報サイトを眺めてみたら、意外と期待に沿った店名が少なくってがっかりするよね、

 

でお馴染みLeo the footballじゃない者です。

 

本書がどんな本か簡単に説明します。

 

それはタイトルの通り、ほとんどがヨーロッパサッカーについて語った本、です。

 

UEFAこと欧州サッカー連盟にはもちろんいくつもの国の協会が加盟しているわけですが、いわゆる5大リーグ。なかでも現在の最高峰であろうスペインとイングランドを主に扱っています。

 

リーグの特色やビッグクラブ、主要な選手、戦術について語るのはもちろん、「「恋愛=移籍市場」論」なんていう珍しい観点のコラムなんかも幕間に登場します。

 

欧州編と題されていますが、5章は日本代表編です。


とはいえ、ハリルホジッチの話からスタートするため、欧州との連関する内容となっています。

 

また、要所要所に、先日このブログでも紹介した『ようこそ!プレミアパブ』の著者であり、プレミアパブの代表である内藤秀明さんも登場します。

yutaarai1983.hatenablog.com



多角的にしゃべくってんな!【感想】

どうも。

 

「ポジショナルプレー」がもともとチェス用語だったりするし、サッカーを理解するにはサッカー以外の様々なものに目を向けるべしとしきりに叫ばれてる時代なので、そろそろサッカー界もSF用語を取り入れて「ダイソン球」とか「ジョンバール分岐点」とか使っていくべきだよね、

 

でお馴染みLeo the footballじゃない者です。

 

で、感想なんですが。

 

まずはイラストレーターさんお疲れ様です。

 

この本、イラストがかなり多めなんですよね。

 

このイラストの分量の多さは、あかほりさとるの『爆れつハンターSpecial』以来じゃないでしょうか。

 

お描きになったのはアカハナドラゴンさん。

 

まずは彼のお仕事ぶりにお疲れ様です、と。

 

で、Leo the footballさんがお書きの本文。

 

これ、目次だけ一見すると、スレたサッカーファンは、「初心者向きか?」とか「そんなこと知ってるよ」とか言いそうなんですよね。

 

しかし、実はそうではない。

 

たとえば「第1章 リーガ・エスパニョーラ編」にてアルトゥーロ・ビダルやセルヒオ・ブスケツの紹介がなされています。

 

彼らは、「W杯のときに日本代表を見てみんなで盛り上がるときくらいしかサッカー見たことないけど、W杯見てるうちにサッカーにも興味持ったし、メッシって人ののいるとこの試合でも見てみようかなぁ」とか思った人が最初に出会う選手たちですよね。

 

そもそも、まずはW杯イヤーのシーズン中に発売されているので、こうした初心者の方たちに優しい本であるのは必然性がある。

 

けれど、よく読んでみると、ビダルやブスケツのことを紹介すると同時に、Leo the footballさん独自の見解も語られている。しかも、各選手論のみならず、もう少し広いサッカー全体の話に繋がるように語っていたりするんですよね。

 

ブスケツの髪型に注目するのなんて、まさにそんな感じで。

選手の性格や好むカルチャーと適正ポジションは関連があるかないかでいえば、あると思いますが、その表れとしての髪型に着目するおもしろさ。

 

それに、1日4試合見て海外の地元紙のWebサイトにまで目を通すようなサッカー狂とて、意外と記憶から抜け落ちていたり、推しクラブが所属しているリーグで試合は見ていても、ファンでなければ忘れてしまったり知らないエピソードが案外あるもの。

 

これからサッカーを見たいという人も、長年見てきたサッカーのことをコンパクトに振り返りたい人も、ともに楽しめると思います。


この本を書いたLeo the footballさん。

 

まぁ、はっきり言ってバルサ好きの方です。

 

ですが、2章をまるごと、「これこそがクリロナの世界」なんていってクリスティアーノ・ロナウジーニョ(クリロナ)に捧げてるんですよね。

 

この構成自体がクリスティアーノ・リバウド(クリリバ)のサッカー界全体での重要性がよくわかるのですが、あらためて振り返ると、彼がフットボーラーの夢のストーリーそのものなんじゃないか、という気がします。

 

この2章、クリスティアーノ・ロナウドが元マン・ユナイテッドの選手であるということで、プレミアパブの内藤秀明さんも登場しています。

 

この彼の話、まずはロナウドの聖地巡礼の話から始まるんですけど、彼が渡り歩いたクラブのファンでも、そうそう生家の周りなんて行っていないでしょうし、興味深く読む価値でありです。

 

で、共感できる点として、ロナウドがユナイテッドに移籍してきた時代が重要だった、という話をしているところ。

 

彼がロイ・キーンのいた時代に間に合ったことは非常に重要で、なんならユナイテッドというクラブの歴史の妙といったものを感じます。

 

かつて、プレミアリーグの初期。

 

ブライアン・ロブソン時代の終盤かつカントナがキングとなった時代と重なるように92年組が登場し、まだサー・マット・バスビーもかろうじて存命だったころにプレミアリーグを制覇し、繋いできた歴史のピークとしてのトレブル達成。その大部分に関わったキーンとロナウドの時代が交差したことで、だいぶ細くなった糸が繋がったというか、バトンが手渡された感がありました。

 

本書の第3章のプレミアリーグ編。ここ、今まであまり見たことない種類のネタがあります。

 

どんなものかというと、プレミアリーグのビッグ6と呼ばれる強豪6クラブを美少女化してるんですよね。

 

これは、今までぼくの人生にはなかったタイプの妄想で、新たな(しかも性的な)趣味を増やしていただきました。

 

正統派美少女として擬人化されたマンチェスター・ユナイテッドちゃんが、『White Album2』の小木曽雪菜にたとえられてるのとか、丸戸史明のエロゲーが好きなぼくとしては嬉しいかぎりでした。

 

オタクかつフットボールが好きな二重苦みたいなキモい人たち(僕のことです)は、フットボールクラブを二次元の美少女に例える遊びをするのもありかもしれません。

 

『ときめきメモリアル』や『同級生』のような古典的美少女ゲームのヒロインが古豪のノッティンガム・フォレストちゃんだったり。

 

翌シーズンの昇格が決まっていて、スタジアムの改修も決まっていたのに、最終節でファンのタバコの火から大火災に発展したブラッドフォード・シティちゃんは、明るい未来が待っているかと思いきや交通事故で寝たきりになった『君が望む永遠』の涼宮遙、とか。


余談を派生させるなら、その昔、深夜に友達の家で海外サッカー見ながら、選手を東京や近郊の駅に例えた遊びをしたことを思い出しました。

 

第6章ではLeo the footballさんからサッカー界への提言なんかもあるんですが、JリーグのアドバイザーをつとめるホリエモンのJリーグやサッカー観戦の問題の指摘に対して「こういう策があるんじゃない?」なんて案を出したり、ハウステンボスのような他業種を引き合いに出してJリーグが参考にできるであろうポイントを提示しているんですよね。

 

このへんを読んでいると、Leo the footballさんは普通に就職してもかなり有能だったのではないかという気がします。

 

以上に書いてきたことの他にも、ヨーロッパの注目すべき監督についての章、もしかしたらここだけでも興味があるって人がいるかもしれない日本代表の章があり、合間に真面目なものからネタ的なものまでコラムが挿入されています。

 

この本書の多様なページ構成。毎日動画投稿してネタを考えまくってる人らしいな、と。

 

他にも細かく思うところは色々とありますが(25ページの「サイコパスサッカー少年」って良いフレーズだな、とか)おおむね以上が本書の感想となります。

さて、最後に。

 

「サッカー+詳しくなるには+本」でグーグル検索し、このブログ記事に来たのでLeo the footballさんのことを初めて知ったという方。

 

もしくは「ソープ嬢+付き合うには+水木しげるファン」で検索し、このブログに来た方。

 

……いや、なんで、それでこのブログがヒットした?

 

ぜひ、「Leo the football TV」のチャンネル登録をおねがいします。

www.youtube.com

それでは、Bye! Bye!

 

Leo the footballのしゃべくりサッカー部 欧州編 (SAN-EI MOOK ELGOLAZO BOOKS)

Leo the footballのしゃべくりサッカー部 欧州編 (SAN-EI MOOK ELGOLAZO BOOKS)

 

 

【感想】さやわか『名探偵コナンと平成』

 

バァァァァァルストォォォン先攻法ォォ!!!!!!!

 

とまぁ、冒頭にミステリー用語を叫んだことでお分かりのことと思いますが、ぼくはミステリー・推理もの好きです。いわゆる新本格と~メフィスト賞にハマっていたタイプのキモオタです。

 

ですので、ミステリーのネタバレがどれだけご法度かはよく存じているわけです。

 

なので、この記事はネタバレなし。この先を読んでも本の結末はわかりません。っていうか、そもそも内容のある記事を書く能力が僕にはありません。

 

ただ、読み終えた瞬間に感動を覚えた、そのことを刻印しておきたい。そう思ってこのエントリを書いております。


ハンバーグなの!? 東海道線沿線で食えるハンブルグなの!?【著者紹介】

著者のさやわかさん。紛らわしいですが、「さわやか」ではなく「さやわか」です。

 

彼の存在を知って以降は「爽やか」という言葉を確信を持って使えなくなりました。同様の人はそこそこいると思います。

 

ポップカルチャーを中心としたライターであり、たとえば『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』のパンフレットの文章なんかは彼が書いています。気がつかないうちに彼の文章を目にしている人は多いのではないでしょうか。

 

最近(ってほど最近からでもありませんが)は漫画原作者としての顔も。

 

であると同時に批評家として、ある種の真実を探り出す仕事をしています。

 

扱う対象は幅広く、物語を読み取れるコンテンツならなんでもござれ。

書き仕事のみならずしゃべりの仕事も多く、ゲンロンカフェでは長くレギュラーをつとめていて、こちらも神回多目です。

 

以下はコピペで作った著作一覧です。

単著

  • 『僕たちのゲーム史』(星海社、2012年)
  • 『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書、2013年)
  • 『一〇年代文化論』(星海社、2014年)
  • 『僕たちとアイドルの時代』(星海社、2015年)※『AKB商法とは何だったのか』の改訂・追加版
  • 『キャラの思考法 現代文化論のアップグレード』(青土社、2016年)
  • 『文学の読み方』(星海社、2016年)
  • 『文学としてのドラゴンクエスト 日本とドラクエの30年史』(コアマガジン、2016年)


共著

  • 西島大介『西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガを描くのではない。そこにある何かを、そっとマンガと呼んであげればいい。』(講談社、2010年)
  • 西島大介『西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガ家にはなれない。かけがえのない誰かだけが、君をマンガ家にする。』(講談社、2012年)
  • ばるぼら『僕たちのインターネット史』(亜紀書房、2017年)
  • ふみふみこ『qtμt キューティーミューティー』(LINE、2017年)
  • 西島大介『マンガ家になる! ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第1期講義録』(ゲンロン、2018年)


書籍ではありませんが、90年代からネット上で活動されている方でもあるので、より深く知りたい方は検索力を発揮して、アーカイブの海にダイブするのもまた良いでしょう(ぼくは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を評論する同人誌『RE:EV』の告知がゼロアカ道場時代の坂上秋成のブログにアップされ、さやわか氏の存在を知ったので、99年からネット環境を持っていたにもかかわらず当時の活動をリアルタイムでは知りませんでした。


『名探偵コナンと平成』ってどんな本?【概略】

1994年にスタートした青山剛昌の大ヒット漫画である『名探偵コナン』を読むことで、「平成」とはいかなる時代だったのかを解き明かした批評の本です。

 

「批評」という言葉はなかなかやっかいで、言葉としては知っていても、なかなか確固たるイメージをもっていない人が多いのではないでしょうか。


「批評家」と呼ばれている人たちでも、各々の批評観の違いによって、使い方が違ってしまっていることもしばしばです。

 

という前提の上で言うと、「実在の作品や人物(作家)を使ってストーリーを作り、作品や、作品が産み落とされた世の中に隠され大切なものを探し当てる知的な読み物」といったところでしょうか。

 

ですので、いわゆる制作者インタビューや設定の解説なんかが読めるわけではありません(引用はされていますが)。

 

けれど、だからこそ、ぼくたちがここ30年ほど生きてきた「平成」なる年間について考えることができている。

 

「実在の作品や人物(作家)を使ってストーリーを作り」なんて説明をされると、「いや、作り物じゃん」って思うかもしれません。そんなもので現実の時代である「平成」についてわかるわけないだろう、と。

 

たとえば、作り物である小説や漫画、映画や音楽を聴いて、恋や愛や人生について大切なものを受け取ったと感じた経験は皆さんあると思います。「テーマ」とか呼ばれるアレです。

 

批評というのは、それと似たもの。ただし、恋や愛や人生でなく(それらを扱うこともあるけど)、もうちょっと知的で難しいものがテーマになったものです。

 

本書はそれの平成狙い撃ち版。

 

つまり、今(平成)を生きている人たちにとって、もっとも関心があってもおかしくない問い、

 

「ぼく(わたし)が世の中を見て感じてることって、言葉でいうとなんなの?」

 

に、筆者なりの答えを出してくれた本です。

 

それも、ドラえもんやクレヨンしんちゃん、ピカチュウやちびまる子ちゃんサザエさんあたりと同等に、だれもが目にし耳にしたことある『名探偵コナン』という作品を通して。

 

きっと作品のファンが読んでも、新鮮な楽しみが得られると思います。


答えを出した本【感想】

【概略】や【著者紹介】から(というか、そもそもこの本のタイトルから)、

 

推理漫画でも推理小説でもないんだから、ネタバレしてもよくね?

 

と、お思いのそこのアンタ。

 

シルクハットを脱いだらその下にひとまわり小さいシルクハットがあらわれるマトリョーシカ式シルクハットの被り手であるそこのアンタだよ。

 

そうじゃないんですよ、この本は。解決編があるんです。

 

「平成の、犯人はお前だ!」

 

と、著者が名探偵のごとく「平成という時代を次第に追い詰め、脅かしてきた存在」である犯人を指摘します。

 

あまりにも年若い人はともかくとして、10代後半より上の年齢の人たちは「平成という時代」が何かによって「次第に追い詰め」られていっていた実感をもって生きてきた人は多いのではないでしょうか。

 

すくなくともぼく自身はそうです。ブッチホンの人が「平成」を掲げたとき6歳だったぼくという人間にとっては、平成という時代は記憶している人生のすべてを過ごした時代だからです。

 

なので「平成の、犯人はお前だ!」以降の文を1文1文読み進めるときは、期待がとんどん大きくなっていきましたね。

 

そして頂点に達したところで正体をあらわす犯人。

 

これがドキッとするような、それでいて納得できる結論になってるんですよね。

 

ネタバレはしないので、ぜひ『名探偵コナンと平成』を買って確認してみてください。


ところで、ネタバレはしないのでボヤーンとしたまま言いますが、この指摘された犯人の正体。

 

日本社会や組織においては、場合によってははっきり指摘しないほうが利口な生き方といえなくもない、そんな存在なんですよね。

 

なので、この指摘をした著者の姿勢には感銘を受けました。

 

であると同時に、「批評家」が「名探偵コナンという本格推理もの」を通じて指摘したことにも感動をおぼえます。

 

日本の推理小説の世界ではかつて昭和の時代に、名探偵のような胡散臭い素人ではなくちゃんとした警察組織の刑事による捜査で現実的な(密室とか出てこないような)事件を解決すべきだ、という風潮がありました。

 

推理小説界の用語を使えば「社会派ミステリー」というやつです。

 

冷遇された素人の名探偵が登場する作品は「本格推理」や「本格ミステリー」なんて呼ばれています。

 

本格ミステリーは、たとえば「クローズドサークルもの」と呼ばれる「嵐によって連絡が不能になった孤島の館」「豪雪で外界から隔絶された山荘」なんかを舞台とする作品があることからもわかるように、現実から遊離しているジャンルとされています。

 

つまり、ちゃんとした組織に所属してるいい大人の「社会派ミステリー」、どちらかといえばアウトローな「本格ミステリー」。

 

著者はいわゆる批評家なので、会社の一員として生きてはいません。

 

いささか強引かもしれませんが、批評家=本格ミステリー的名探偵が社会的問題を、アウトロー(といっても仕事で会社と関わって生きてはいるわけですが)がゆえに指摘できた。指摘する勇気が発揮できた。

 

そんな気がします。

 

どうです、かっこいいと思いませんか、これ。


また、こういう本を書ける人はそう多くはないという気がします。

 

もちろん彼以外にも、年齢的に平成という時代をまるまる知っていて、ポップカルチャーを題材に、現実の現象や事物の反映を整理して本を書ける人はいるのかもしれません。

 

しかし、批評らしい批評、というのはそう多くの人間が書けるわけではないのではないでしょうか。

 

すごくクリアに新書にふさわしい文体で書いているけど、古典的な批評に近く、経験と実力と知識を感じます。

 

あと、いわゆる批評の本では先行する思想家や哲学者を引用し、議論を組み立てることがよくあり、本書でも行われています。

 

スペインの哲学者あであるホセ・オルテガ・イ・ガセットの『大衆の叛逆』という本が引用されるのですが、これがすごく大事なところでピンポイントで用いられるんですよね。

 

もちろん他にも社会学やなんかの引用は少しあるのですが、「○○という哲学者」「思想家の△△」「精神分析の理論家の××」と大量の引用によってガチャガチャ組み立てるようなことはしていない。

 

なので、新書としての読みやすさを保ったまま、思想史にもばひゅんっといっきに入り込んで、今の世の中やこの本を位置づけてしまえる。

この抑制は素晴らしいですよ。

 

いくら言いたいことの前提を固めるためとはいえ、複数のむずかしそうな哲学書から引用してしまうと、扱っている作品につられて手にとった普段批評を読まないような人たちが

 

「それほんとに扱ってる作品と関係あるの?」「君の頭の中だけの話じゃない?」

 

って思ってしまいかねない。

 

引用のピンポイントさだけでなく、「真実はいつもひとつ!」という作品の定番フレーズの利用の仕方と解釈、批評のストーリーのなかに配し方の見事さも大事です。

 

この言葉を上手く使うことで、犯人指摘以降のぼくたちの向かうべき未来のあり方を『コナン』のなかから抽出し、それによってあくまでも『コナン』という作品について語った本だ、という点がブレないんですよね。

 

ぼくなんかは、このバランス感覚に感動を覚えました。

 

ほかに、少し思ったこと。

 

株式会社ゲンロンという会社が批評再生塾という批評家養成講座を開講していたのですが、著者はそこの講師を務めていました。

 

そして第4期で著者は

 

「平成年間(1989~2020)のポップカルチャーで、この時代の、あるいは人々や社会の、あり方がもっともよく描かれている作品や事象を一つ選び、論じてください。」

 

という課題を出しているんですよね(同期には他にも東浩紀と安藤礼二によって平成を問う課題が出ている)。

 

その課題を講師自らが1冊の本として上梓し、やってみせている。

 

これはけっこうすごいことなんじゃないでしょうか。

 

ほかに、少し思ったことその二。

2014年のゲンロンカフェで、新本格ミステリーの作家である法月綸太郎と東浩紀による対談イベント「ふたたび謎解きの世界――名探偵と愛のゆくえ」が開催されました。

 

そのイベント中に

 

「本格ミステリーの探偵は「ループもの」の世界を生きている。そのループの脱出は恋愛関係の成就によりひとりの女性と結ばれることだ。エラリイ・クイーンとかもそうなってる」

 

というお話があったんですね。

 

このお話に従って考えれば、本書は平成年間に流行した「ループもの」論としても読めるのではないか、と思いました。

 

ただ、せっかく『コナン』をつうじて「平成の社会」という大きな問題を考えているのに、「ループもの」論として読むのは小さく読むことになるのではないか、という気もしますが……。


最後に。

 

このブログ記事投稿時点からみて、あと数日で平成がおわり、令和がはじまります。

 

タイトルに「平成」が含まれているため、場合によっては「まぁ、いいや、もう令和になっちゃったし」という人もいるでしょう。

 

あるいは「ウチの子もコナンみてるけど、まだ愛人の産道を通過して6年くらいだし、こんな本わからないでしょ」という血縁上のパパもいるでしょう。

 

でもこの本をラストまで読めば、平成の次の時代へと開かれてることがわかります。

 

なので令和になっても読むべき、思春期を迎えた子供と愛人が会わせてくれるかぎりは本を渡してあげても絶対に損はない。

 

かつてウガニクのオナニー日記を信じて『夢のクレヨン王国』のアニメにハマったぼくのように、このブログを信じて、『名探偵コナンと平成』を手にとってみてください。

 

名探偵コナンと平成 (コア新書)

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